<日本ハム1-4阪神>◇4日◇札幌ドーム

 う~ん、困っちゃう…。阪神真弓監督が、うれしい悩みだ。先発久保康友投手(29)が日本ハムとのオープン戦で4回2安打1失点と好投。オープン戦初登板初勝利を挙げ、先発ローテ入りを猛アピールした。開幕投手最有力の安藤、左のエース能見に続く先発争いは混沌(こんとん)としたまま。開幕間近まで繰り広げられる激しい競争を見守っていく。

 1人だけ、取り残されるわけにはいかない。いい流れで回って来た、開幕ローテ入りを争うオープン戦初マウンド。順当にいけば間違いなくローテの一角を任される久保が、しっかりと第一関門を突破した。

 「今日は甘めに入った球で打者の反応を見たかったけど、参考にならないほどいいコースに決まりすぎた」。初回こそ連続長短打で1失点したが、投球テンポを考えて投げたという2回以降は稲葉、小谷野、糸井ら主力が並んだ日本ハム打線を無安打投球。常にストライクを先行させる「攻め」の投球で、4回2安打1失点と順調な仕上がりを見せつけた。「直球もいい角度でいっていたし、今日は計算通り過ぎて気持ち悪い」。対戦した打者14人中12人が初球ストライク。自身の投球スタイルを存分に詰め込んだ、全56球だった。

 課題として挙げていた城島との実戦初バッテリーでも、息のあったところを見せた。2回。2死走者なしで7番飯山に対し、直球を3球続けてカウント2-1と追い込んだ。直後の4球目。久保は城島のサインに2度首を振り、決め球にまたも直球を選択した。打者が変化球も頭に入れていることを見透かしたような配球。かろうじてバットにあてられファウルとされたが、最後もやはり内角直球で詰まった遊ゴロに仕留めた。久保は「あれは首を振れというサインでした」としてやったりの表情で「心理戦」の裏側を明かした。

 これでオープン戦に登板した開幕ローテ候補は4人が全員、無難に初登板という第一関門を突破した。まだ1度登板しただけで、これから開幕までの約20日間が本当の勝負となるわけだが、好結果が出ていることは素直に喜べる。真弓監督も「みんながよかったらそれでいい。その中で(先発の)6人を選ぶが、いい悩みをさせてくれるのはありがたい」とうれしい悲鳴を上げるほどだ。6日の西武戦(高松)には能見、7日の同カード(倉敷)には安藤と主戦2人が先発予定。悩みの種がまた増えることは間違いない。【石田泰隆】

 [2010年3月5日11時10分

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