<広島6-12中日>◇1日◇マツダスタジアム

 ベンちゃんが得意のマツダで泣き笑いのホームラン祭りだ!

 中日和田一浩外野手(37)が1日、広島戦(マツダスタジアム)で2打席連続の左越え場外弾。さらに6回にも左翼ポール際への3打席連続弾を放ったが、ビデオ判定によって史上初めて判定がファウルに覆され、自身初の1試合3本塁打は幻と消えた。それでもマツダでの本塁打は早くも通算7本。頼れるベテランの活躍で、チームは敵地広島で今季5戦目にしてようやく初勝利だ。

 普段はめったに見せないガッツポーズで和田が喜びを表現した。8-5の6回1死一塁。広島ベイルから放った打球は大きな弧を描き、左翼ポール付近へ。三塁塁審の手がグルグル回ると、和田は二塁ベースを回ったところで、右手を天に突き出した。1試合3本塁打はおろか、自身初の3打席連続アーチ!

 ナインとハイタッチの後、満面の笑み…。だが、その数分後、予想外の展開が待っていた。

 審判団が集まり、ビデオを見直して協議した結果、本塁打の判定はまさかのファウルに。今季ここまでビデオ判定に持ち込まれた例は4度あったが、本塁打が取り消されたのは今回が初めて。和田の3発目は数分で幻へと消えた。

 「あれは線上にいないと分からない。走りだしたんで、自分でも分からなかったんです。でも、それはもうしょうがないですよ」

 ナインもファンも驚きの結末。だが、それ以上に周囲を驚かせたのが和田だった。何事もなかったかのようなケロリとした顔で打席に立つと、難なく左前打。続く代打松井佑の2点適時打を呼び込んだ。特大2ランこそ逃したがスコアボードには同じ2点が灯った。

 1、2発目は文句なしだった。4点を追う3回に左越え場外2ランを放つと、4回にも1点を勝ち越した直後、左越え場外3ラン。猛打賞5打点の活躍でチームを今季最多の18安打、12得点の大勝に導いた。

 「2試合続けて打てていなくて、きょうも1打席目に見逃し三振。だから、何とかと思っていた。うまく切り替えることができて、きょうの試合につながりました」。

 これでマツダスタジアムでは昨年以来、17試合で7本塁打と相性抜群。「マツダでの連敗が止められてよかった」。8本目こそ逃したが、主軸を担う男の強い責任感が、チームをマツダでの呪縛(じゅばく)から解き放った。【福岡吉央】

 [2010年5月2日11時40分

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