＜阪神８－７巨人＞◇２日◇甲子園

　阪神そして虎ファンにとっても痛快な夜となった。真弓阪神が甲子園で宿敵巨人にすべて逆転での３連勝。真弓監督が就任して以来初の５連勝で、ゲーム差なしの首位に浮上した。同点の８回、代打関本賢太郎内野手（３１）が山口から左中間に勝ち越し２号ソロ。３失策、暴投、先発能見の負傷交代、一時は５点差を逆転されるなど苦しい展開だったが、この日ばかりは首位の余韻に浸りましょう！

　代打関本が放った白球が、力強く左中間のフェンスを越えた。強烈などよめきが起きる。「フルスイングでいこうと思った。それが最高の形になって良かった」。７－７で迎えた８回１死。伏兵が激戦にピリオドを打った。ホームを踏むと、右肩を痛めている金本に抱きかかえられた。「初めて。それがすごくうれしかった」と、１８６センチの巨漢は無邪気に笑った。

　真弓阪神が大きな壁を乗り越えた。昨年から４連勝を４度経験したが、その先が勝てなかった。３失策と守備は乱れ、巨人に相性の良い能見が右足甲を痛めて５回で交代した。後を継いだ西村、久保田がつかまり６、７回だけで６失点。５点リードが一時は逆転された。真弓監督が「やらなくていい点をやっているし、取れるところで取れなかった。首位というより今までやってきた野球が大事なところで出来なかったことが残念」と苦言を呈するのもうなずける。

　それでも勝てたことは大きい。甲子園での宿敵相手の３連戦３連勝は０４年以来。しかも５試合連続２ケタ安打だ。真弓監督はシーズン前、関本に関して、こんな話をしたことがあった。「体のことを考えれば、二塁を１年間、守らせたくない」。昨年、右足の内転筋を痛めている。一、三塁も守るほど器用だが、異なる動きによる負担は大きい。スタメン起用が少なくなったのも、それを配慮してのことだった。

　激しい競り合いを制した真弓監督は「もつれたゲームで自分のプレーができなかったが、その中で勝ちを拾うのは流れが来ているからかな。あと６試合交流戦にいい状態で入りたい。勝っているだけに選手にきつく言える。ドンドン、締めていきます」と、不敵な笑みを浮かべた。チームが大きく変わりつつある。４月１日以来の首位にも、手綱を緩めるわけにはいかない。【田口真一郎】

　［2010年5月3日9時58分

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