今年こそ頂点だ。広島が25日、宮崎・日南での春季キャンプを打ち上げた。課題の投手陣強化は順調で、野村謙二郎監督(44)も「去年より今年の方が充実。戦うからには1番を目指す」と手応えを口にした。今日26日ソフトバンク戦(福岡ヤフードーム)から本格化するオープン戦で、さらにはずみをつける。

 春のような陽気に包まれた天福球場のブルペンで、野村監督は椅子にどっしり腰掛けた。前田健、福井、サファテ、ジオ…。思い思いの球を投じる投手陣への充実感がある。キャンプ最終日。手応えを問われた指揮官は真っ先に口にした。

 野村監督

 一番感じるのは、投手陣が競い合って練習していること。オープン戦に入って、良い悪いは出てくるけど去年より今年の方が非常に充実している。

 これこそが求めていた光景だった。昨季、チーム防御率はリーグ5位の4・80だった。開幕直後から投手陣が崩壊し、初陣白星のあとは、悪夢の7連敗を喫した。層の薄さを最後まで解消できず、5位に低迷した最大の要因だった。

 だが今年は違う。新助っ人のバリントン、サファテが持ち味を発揮し、右肩痛から復活を期す大竹もじわじわ回復。新人左腕の岩見、中村恭への期待も大きく、1軍枠を巡る争いは激化している。

 野村監督

 (昨年)秋からの継続でイメージもある。何とかいいキャンプを送れたし、選手も(オフの自主トレで)いい準備をしてくれた。

 チーム力が弱る最大の要因は故障だが、今キャンプでは横山が腰痛で、上野が右足負傷で離脱した程度。致命傷になる大きなアクシデントはなく、野村丸もまずは順風満帆な出航だ。日南キャンプでは15日から1週間、野茂英雄臨時コーチが指導。「ブルペンを見ても去年よりレベルが上がっている。カープは今年、だいぶ強い。今年は優勝を狙える」と言葉を残した。大野投手チーフコーチも「去年より悪いとは思わない」と胸を張って言い切った。

 チームは13年連続Bクラスに低迷するが、層の厚くなった投手陣を軸に戦いを進める方針。就任2年目の指揮官は語気を強める。

 野村監督

 僕の中で、戦うからには1番になるつもりでやっている。野球を始めたころからのテーマ。選手にも継続してやってもらいたい。

 キャンプ中は日課があった。日々、日記帳にペンを走らせ、思いをつづっていた。「肩の力を抜く」のが指揮官自身の今年のテーマだ。「その言葉を言い聞かせている」と言うように、自然体を保ってきた。中日、阪神、巨人の3強が覇を競う中で、カープがダークホースになりそうな気配が漂う。【酒井俊作】

 [2011年2月26日10時31分

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