<オープン戦:中日3-8楽天>◇26日◇北谷

 初の開幕投手へ、マーくんが先手を取った。楽天田中将大投手(22)が26日、中日戦(北谷)で先発。3球勝負と早めの勝負を仕掛け、オープン戦初登板を4回2安打無失点で終えた。最速150キロの直球は迫力満点。スプリットも投げ、空振り三振を奪った。今季開幕の3月25日ロッテ戦(Kスタ宮城)まで約1カ月。開幕投手の座を争う岩隈が実戦未登板なのに対し、まずは田中が大きな1歩を進めた。

 気迫を込めた。「ウォリャ!」。2点リードの2回2死一、二塁。田中は、中日大島に1ボール2ストライクから内角真っすぐで勝負した。安打と味方の失策で、唯一、得点圏に走者を背負った場面。「あそこは踏ん張ることが大切」。わずかに外れたが、最後は遊ゴロ。3、4回は無安打に抑え、指笛と拍手を浴びながらベンチに下がった。

 オープン戦初登板のテーマは「普通に抑えること」と定めていた。「抑えないと、打者の反応がどうか見ることは出来ない」。今のボールでどれだけ抑えられるか。シーズンさながらガチンコ勝負を仕掛けることにリトマス紙を置いた。

 選んだ一手は「無駄球を投げても」という3球勝負。2回、先頭ブランコを2球で追い込み、首を振って外角低めへ141キロスプリットを投げた。直球と変わらぬ軌道から鋭く落ちる必勝手で空を切らせ3球三振。続く平田も2球で追い込み再び首を振る。「落としても良かったけど、真っすぐでいきたかった」と明かした球は右前に打たれたが、勝負手を使い分けたことに本気度がうかがえた。

 久米島キャンプの朝の声出しで「4年連続開幕投手の岩隈さんから、その座を奪います」と堂々と宣言した。楽天を支える両輪の極めてハイレベルな争いが始まったが、オープン戦でのスタンスは微妙に異なる。ともに開幕までの一里塚。打たれたからダメ、とされる投手じゃない。ただ、抑えにかかる田中に対し、3月序盤に登板予定の岩隈は「打たれた方が課題は分かる」とした。だが、考え方に違いはあっても「僕だって開幕で投げたい」と狙いは同じ。「田中だって勝負と思っている。今年は宣言しているだけで、毎年競争なんです。これまでも、そうだった」と後輩の挑戦を正面から受けて立つ。

 挑む田中は「あれだけ声を大にして言いましたし、もちろん(開幕を)目指したい」とあらためて言った。上々の初登板にも、星野監督は「いい感じで仕上がっているが、オレから言わせればまだ普通かな」。驚かなかったのは信頼が高い証し。1つだけの座に王手をかけるべく、先手マーくんが大きなくさびを打ち込んだ。【古川真弥】

 [2011年2月27日8時43分

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