阪神は独自の「減灯ナイター」を実施する方針を固めた。19日のセ・リーグ理事会では、東京・東北電力管内の夜間試合は「減灯ナイター」とすると決定。電力問題は関西地区に影響はほとんどないが、阪神は京セラドーム大阪での29日の開幕中日戦をはじめ、甲子園でのナイターでは照明を落とすなどして、省エネ対策を講じる。かつての被災地球団として、一緒になって、復興支援にあたる。

 阪神が「減灯開幕」を迎える。セ理事会の決定を受け、29日に京セラドーム大阪で行う中日戦(午後6時開始)が今季開幕戦となった。沼沢球団本部長は「プレーに支障のない程度に、うちも節電を考えています」と説明。球場内各所の照明を若干落とし、スコアボードでの派手な演出やCMなどを自粛する。冷暖房の空調など電力を使う機器の稼働も極力下げ、観戦するファンにも理解を求める方針だ。

 文科省の要請を受け、理事会では東京・東北電力管内の夜間試合は「減灯ナイター」とし、大規模な節電策を講じることが決まった。京セラドームへの電力は関西電力が供給するため、被災地への影響はほとんどない。だが阪神は十分に電力を使うことができない東北・関東圏の野球事情を考慮し、独自の考えでならう方針を固めた。「省エネにも通じる」として減灯は甲子園でのナイターにも適用。かつて阪神・淡路大震災を経験した被災地球団として、電力問題が解決するまではすべての主催試合で節電に取り組む考えだ。

 本来なら神宮でのビジター開幕のはずが、突然のホーム開幕となった。だが沼沢球団本部長に笑顔はなく「華美なセレモニーは避けたい」と厳しい表情でコメント。始球式をはじめとするイベントについて、今後球団内で案を練り直すことになった。144試合のすべてが被災地復興へのチャリティー試合となり、試合前に被災者への黙とうをささげることなど“特別な開幕戦”として準備に入る。

 もちろん29日の開幕などは、選手会の了承を得る必要がある。沼沢本部長は今日20日、急きょ東京から札幌に移動。日本ハムとのオープン戦前に労組会長の新井をはじめ阪神ナインに事情説明し、理解を求める。「新井選手にも理事会の内容は伝えました。他の選手会長と連絡し、検討すると言っていた。選手会に理解を得られて、この案でいけるように願っています」と話した。

 思いは12球団1つ。かつて阪神淡路大震災を経験した被災地球団として、側面から復興を支援する。【松井清員】