<オリックス4-7中日>◇29日◇京セラドーム大阪

 どえりゃ~打つからもうトップだがや~。落合竜が今季初めて首位に立った。初回に2点を先制されたが、2回に一挙4点を奪って逆転。つながる攻撃で3連勝とし、交流戦前に4・5ゲーム差あったヤクルトとの差を10試合で逆転した。球団初の連覇への歩みが軌道に乗ってきた。

 首位奪取はあざやかな連打で決めた。2点を追いかける2回、反撃は5番ブランコの二塁打から始まった。6番佐伯が中前打でつなぐと、7番堂上剛も中前打で1点。谷繁の犠打で二、三塁とし、藤井がしぶとく右前へ運んで同点とした。

 「自分が出た時は、自分ができることをきちっとやるしかないので」。

 今季スタメン4試合目の藤井らが必死でつないで、打順は上位へ。絶好調の荒木が左前打で勝ち越し。井端も内野安打で続いた。メジャー通算124勝右腕朴に犠打を挟み6連打を浴びせ、一挙4得点の逆転劇。下位打線でも得点が奪える今の打線を象徴するシーンだった。

 3番森野、4番和田が合わせて1安打。それでも快勝し、落合監督は「そのうち打つだろ。いつかはわからない。2人に聞いて下さい」と淡々と話した。ようやく落合野球が軌道に乗り始めた。4月は就任8年目で最悪とも言える打撃不振に直面。先発8人のうち打率3割超えは谷繁だけで、残り7人がすべて1割台の状況さえあった。ただ指揮官には笑い飛ばす余裕と確信があった。

 「周りはみんな打てない、打てないというけどさ。打率が自分の身長よりも低いんだぞ。そのうち体重までいくんじゃないか(笑い)。でも、そんなことが続くわけがないだろ。逆に考えれば、ここからはよくなっていくだけなんだよ」。

 信頼が主力選手たちの復調を呼んだ。5月に入って荒木、井端、ブランコらに当たりが出てきた。一方でまったく兆しの見えない新外国人グスマンはスタメンから外し、2軍落ちさせた。これで出場機会を得たのがベテラン佐伯に堂上剛、平田、藤井らだ。「このチームは競争がなくなったら終わりだ」。固定できないポジションは徹底して競争させる指揮官の厳しさが、下位打線を活性化させた。

 今季初めての首位。落合博満監督(57)はあえてこの質問に無言を貫き、交流戦無敗のソフトバンクとの両リーグ首位対決に向けて福岡に移動した。まだ先は長い-。指揮官の目はそう言いたげに光っていた。【鈴木忠平】