<楽天0-7日本ハム>◇5日◇Kスタ宮城

 日本ハムが外国人パワーで連敗を「5」で止めた。楽天戦(Kスタ宮城)で先発のボビー・ケッペル投手(29)が、5四球と制球に苦しみながらも要所を締め、6回を4安打無失点で10勝目を挙げた。打の主役はマイカ・ホフパワー内野手(31)だ。2回に出場30試合ぶりの10号ソロ、3回に11号2ランを放ち、3打数2安打3打点の大当たり。今季ワースト5連敗中の窮地を救い、首位ソフトバンクとのゲーム差を4・5に縮めた。

 ハイテンションの4つの青い瞳は興奮で充血していた。ホフパワーとケッペルの競演でトンネルを抜けた。来日初2打席連発&2年連続2ケタ10勝。投打柱の外国人コンビの節目で、今季最長の連敗は5で止まった。ホフパワーは「いつでもホームランはサイコー!」、ケッペルは「スゴ~イ!」と高音で叫んだ。大男2人がどっぷり悦に入った。

 沈滞ムードを突き破ったのは、ホフパワーだ。先頭打者の2回。苦手の楽天永井のフォークを右翼席へ運んだ。2点目となる自身出場30試合ぶりの1発でスイッチオン。3回には外角高め直球を中堅席へ特大弾を突き刺した。ケッペルは6回無失点の快投で、呼応する。梨田監督が「もがけば、もがくほど、あり地獄にはまる」と苦悩した負の連鎖を、軽々と断ち切った。

 突然の狂喜乱舞の助っ人祭り。一致団結の伏線があった。7月15日からの札幌ドームでの西武3連戦。「北海道祭り」と銘打ったカードを宣伝するスポットCMに起用されたのがウルフを含めた外国人3人衆だ。特有のイントネーションで話題沸騰の「ホッカイドウ、マッツ~リ~!」と連呼する斬新なアイデア。その3試合で満員札止め2試合を含む計約11万人を動員した主役が、この日突如目覚めた大砲だった。

 3人が順番で発声するプランで、1番手に指名されたのがホフパワー。来日2年目の2人を押しのけ、滑舌がNO・1との評価で抜てきされた。当時は大不振で迷走中。ほか2人には引け目を感じていたが「チームに貢献できるなら」と複雑な思いをしまい、大役を務めた。失意を表に出さずに演じた姿勢。球団関係者を感動させた献身さが、やっと本業に生きた。

 実績、人柄でリーダー格のケッペルは前日4日のアクシデントも一掃する快投。札幌から深夜に仙台入りの予定だったが、航空機の運航見合わせで、新千歳空港で足止めのハプニングに遭遇した。千歳市内のホテルに急きょ宿泊。この日は当日移動→先発の強行軍だった。おなかがペコペコだったが、マウンドさばき同様、タフに冷静に対処。同泊することになった武田勝が誘いを断っても、たった1人で近隣の焼き肉店へ飛び込んだという。

 内臓系は大の苦手。同行できなかった球団関係者に電話で「ハラミって、どの部位なんだ?

 横隔膜?

 じゃあ大丈夫」などと調査しながら、豪快に胃袋に詰め込んだ。日本人でも難しいとされる“1人焼き肉”。武田勝が「僕でも1人焼き肉は無理で、したことがない。アイツすごい」と感服させる荒業が、この日の難局を乗り切る人間力を証明した。「スケさん」こと好調スケールズを含めた助っ人カルテットに、夏本番の予感だ。【高山通史】