<オリックス1-4楽天>◇13日◇京セラドーム大阪

 支えてくれた家族に感謝の1勝だ。2年目の楽天美馬学投手(25)が先発し、7回5安打1失点で今季初勝利を挙げた。打たせてとる投球で李大浩のソロ1点だけに抑えた。昨季は中継ぎで23試合に登板も、右肘痛で7月以降はリハビリ生活が続いた。ケガを乗り越え、約11カ月ぶりの勝利。投げられなかった時期に励ましてくれた家族へささげる、「母の日」の勝利だった。

 少しだけ、美馬は勝利の余韻に浸っているようだった。「いや~良かったです」と、試合後は終始ほっとした表情だった。中継ぎから先発転向後、3度目で待望の白星を手にし、チームメートと握手を繰り返した。「(連勝中で)いい流れだったので、勢いに乗って勝てたらいいと思ってました。丁寧に投げられたことが良かったです」とほおを緩めた。

 母の日の勝利に感慨深いものがあった。昨年は6月末に右肘痛を発症し、その後1軍登板はなし。実戦登板は10月に入ってから。約3カ月間、リハビリが続いた。千葉・船橋市内の病院に通いながら、茨城・取手市の実家に帰省することもあった。「リハビリのときも励ましてもらってたので。少しは恩返しできたかなと」。登板のたびに連絡をくれる母明美さんにカーネーションを贈り、感謝の気持ちを表した。「今年はいいことをしたから、いいことが返ってきたんですかね」といたずらっぽく笑った。

 3日の西武戦は6回6失点で降板した。ここ2試合の先発での課題は投球の「間」だ。昨季は150キロに迫る直球で押した。だが「中継ぎだったら、勢いよくどんどん投げて抑えられることもあったんですけど、先発ではリズムとかいろいろ考えないといけない」と投球スタイルの違いを痛感した。ブルペンでは投球間隔を空けるなど「間」を意識しながら調整。この日は李大浩にソロを浴びたが、110キロ台のカーブや2種類のスライダーで打者のタイミングを外し、最少失点に抑えた。

 7回1失点の好投が、8回の勝ち越しにつながった。チームは5連勝で今季初の貯金。星野監督も「よう踏ん張ったな。あいつが勝利投手にならんと(ローテーションが)回っていかない。1つ勝たせたかった」と美馬の粘投を喜んだ。エース田中不在の苦しい台所事情で価値ある勝利。それでも「次の登板が大事になってくると思うので、次も頑張ります」。気を緩めず、前に進む。【斎藤庸裕】