師匠に“恩返し”を-。ソフトバンクにFA移籍した寺原隼人投手(29)が19日、佐賀・唐津市内で自主トレを公開。自身の人的補償でオリックス入りした馬原孝浩投手(31)と汗を流した。何度も自主トレをともにした先輩を追い出す形になり、複雑な心境を初めて公の場で明かした。

 「びっくりしたし、ショックだった。すごくへこんだ。ものすごく優しい、お兄さんみたいな存在。面倒見が良すぎるくらい。自主トレの施設を手配してくれたり、だいぶお世話になってるので…」。馬原の自宅にもよく遊びに行っていたという。

 馬原の移籍決定は今回の自主トレ期間中。後ろめたさから、一緒に続けていいのか迷った。それでも馬原からの電話で「気にするな」という言葉に救われた。「僕も2回トレードになった。野球の世界なのであり得る話」と、ようやく気持ちを切り替えられた。

 印象深いのが11年4月だ。オリックス移籍後初登板でソフトバンクを完封。「馬原さんから『良かったな。応援してた』と言ってもらえて、すごくうれしかった。今回は逆の立場になるけど、またそう言ってもらえるように頑張りたい」。

 馬原不在でチームは救援陣が手薄状態。先発が長い回を投げるほど、ブルペンの負担は減る。寺原は今年の目標に180投球回とし、誓いを立てた。「馬原さんを登板させないようにしたい」。成長した姿を見せることが、恩返しになると信じている。【大池和幸】