<日本ハム1-4楽天>◇2日◇札幌ドーム

 じぇじぇじぇ!

 楽天銀次内野手(25)がエースのプロ野球タイ記録達成をアシストした。1点を追う6回1死二、三塁から藤田の適時打で同点。なおも1死一、三塁のチャンスで銀次が右前に決勝打を運んだ。NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台の岩手出身で、パ・リーグの首位打者を争う男が、値千金の一打でチームの5連勝に貢献。貯金17で首位を独走するチーム同様、プロ8年目の若武者の勢いも止まらない。

 打ったったじぇ!

 銀次は打席で決心した。6回に同点として、なお1死一、三塁のチャンス。「負けさせるわけにはいかない」とエース田中のために、集中力を高めた。ウルフの初球カーブを捉え、一、二塁間をきれいに抜いた。勝ち越しの決勝打は「あいつ(田中)の地元(高校時代を過ごした北海道)での試合だったので。気持ちで打ちました」。一塁ベース上では、無邪気な笑顔を見せてガッツポーズした。

 首位を快走するチームに欠かせない存在となった。現在打率3割3分8厘で首位打者を争う。それも、銀次にとっては“予定通り”だった。プロ7年目の昨季に打率2割8分の結果を残してレギュラーに定着したが、オフの契約更改で大々的に言った。「首位打者とゴールデングラブ賞をとります」。今季の開幕後は調子が上がらず、途中出場が続いた。それでも「夢では終わらせませんよ。気合でとります。とったります!」と気持ちを強く持っていた。

 野球を始めた小学2年の頃から心に刻んでいる言葉がある。母一枝さんから「悪いことはいつでもできるんだから。野球は今しかできないから、しっかりやりなさい」と教えられてきた。野球以外にも興味が湧く思春期も、銀次は野球一筋だった。「中学、高校の監督にも怒られたことないですよ」。今しかできない。そんな思いでボールを追いかけ続けてきた。首位打者を争う今も、その思いは変わらない。

 そんな銀次の注目度は、ますます高くなっている。最近では、NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」の、エンディングで流れる「まだまだあまちゃんですが…」の写真コーナーに出演する可能性まで出ている。ドラマの舞台である岩手出身という縁もあり、チームメートからは「え、あまちゃん出るの!?」と興味津々に聞かれることも多い。

 銀次の活躍で、貯金を今季最多の17とした。首位チームの勢いについて星野監督は「感じないな」と冷静だったが、チームは後半戦の6勝全て逆転勝ち。劣勢をひっくり返せる強さがある。その中心に銀次がいる。【斎藤庸裕】

 ◆銀次(ぎんじ)本名は赤見内銀次(あかみない・ぎんじ)。1988年(昭63)2月24日生まれ。岩手・下閉伊郡普代村出身。盛岡中央から05年高校生ドラフト3巡目で入団し、09年秋に捕手から内野手へ転向した。プロ7年目の昨季にブレークし、打率2割8分の結果を残してレギュラーに定着した。174センチ、85キロ。右投げ左打ち。

 ◆銀次とじぇじぇじぇ!

 楽天が、銀次をNHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」のエンディング、「まだまだあまちゃんですが…」の写真コーナーに登場させるべく7月中旬に応募書類を送付。同コーナーはまだ職歴が浅く、これから仕事を極めていく人を取り上げている。銀次は岩手・下閉伊郡普代村出身で、ドラマの舞台(北三陸市は架空の都市)久慈市は2つ隣の町。小学2年までは久慈市に住んでいた。