オレ流で中日ガッツ誕生-。中日は26日、巨人からFA宣言した小笠原道大内野手(40)と名古屋市内の球団事務所で契約を結んだ。1年契約で年俸は3000万円。師と仰ぐ落合博満ゼネラルマネジャー(GM、59)から救いの手を差し伸べられての移籍に感謝した。同GMが現役時代に背負っていた3と6を合わせた背番号「36」も与えられ、新天地でゼロからスタートを切る。

 小笠原が新調して締めて来たネクタイは、中日カラーの青色だった。日本ハムでプロ1年目からともに過ごした師・落合GMの誘いが救いとなり、新天地が決まった。10日のFA宣言後に届いた唯一の獲得オファー。水面下の交渉でのやりとりをこう明かした。

 「必要だから来てくれと。この言葉で十分すぎる。その言葉だけでいっぱいになりました」

 契約は1年で年俸は3000万円。かつて球界最高年俸4億3000万円を稼いでいた。巨人での今季年俸も7000万円。FA移籍では異例の、野球協約の減額制限を超えた57%ものダウンとなる。戦力として期待され請われての入団。条件は関係なかった。

 会見前の交渉で背番号も決まった。「36番をつけさせていただくことになりました」。3+6の36。落合GMが現役時代、日本ハムで背負った3とロッテ、中日、巨人での6を合わせた数字を直接提示された。06年にFAで日本ハムから巨人に移籍した際も興味を示した同GM(当時は監督)の思いを背負うことになった。

 幾多のタイトルを手にした現役屈指の大打者。ここ数年は出場機会に恵まれずくすぶっていたが、過去は振り返らない。12年ぶりのBクラスから新体制で巻き返しを期すチームの象徴になり得る存在だ。「昨日までのことは忘れました。新しいドラゴンズが強くなっていく中の1つのピースになりたい。谷繁監督を胴上げするために来たと思っている」と言い切った。

 写真撮影では白木のバットを手渡された。カメラマンから構えるようリクエストされたが「構えはユニホームを着た時に」とやんわり拒否した。刀を手にした侍のような男。そんな新戦力に対し、落合GMは「普通のことをすれば人並み以上の成績を残すと思うよ。必要ない戦力に声はかけません」。笑みをたたえてこう言った。(金額は推定)【八反誠】

 ◆落合GMと小笠原

 97年から2年間、選手として日本ハムでともにプレーした。落合は巨人から移籍、小笠原はドラフト3位入団の“同期”。3冠王のミット運びが新人だった小笠原の最初の仕事で、ベンチ前でのキャッチボールの相手役にも指名され自然と「師弟関係」ができあがった。06年オフに小笠原がFA宣言し巨人に移籍する際には、落合監督時代の中日は最終的に争奪戦に参戦はしなかったものの、獲得に興味を示していた。