<日本ハム1-2ソフトバンク>◇10日◇東京ドーム

 日本ハムが首位ソフトバンクに競り負けた。1-1の7回2死一、二塁のピンチで栗山英樹監督(53)が好投を続けていた先発木佐貫から2番手谷元にスイッチ。この采配が裏目に出て李大浩に勝ち越しの二塁打を許した。打線も6回無死二塁の好機に中田から始まる中軸が凡退するなど、散発の4安打に抑えこまれ、2回以降はゼロ行進。今カード1勝1敗で貯金は1となった。

 言葉が、なかなかつなげない。一塁側ロッカー室に静寂が漂った。試合終了から約15分後、栗山監督は姿を現した。無念さをにじませながら、言い聞かせた。「できることをやり尽くす。目いっぱいやり切るしかないから」。手は尽くしたが、湿っぽさが残る惜敗。痛感しながらも、すぐに前を向き直した。

 仕掛けたベンチワークが裏目に出た。同点の7回2死一、二塁のピンチで動いた。粘投の木佐貫から、2番手谷元へスイッチ。不調の李大浩を迎え、動いた。今季初勝利を狙ったベテランをベンチへ下げた。栗山監督は「木佐貫を勝たせてあげたかった。結果的にオレが悪い。ただどっちが打たれた方が後悔するか」と2択で、迷いなく手を打った。致命傷となる、勝ち越しの中越え二塁打を浴びた。意気消沈ムードに拍車がかかり、後手に回った。

 直前の淡泊な攻めが、攻撃的な継投へと打って出る伏線だった。同点の6回無死一塁で、打者は中田。4番で走者は動きづらいケースだが、陽岱鋼が2球目に二盗を成功させた。勝ち越し点を奪えるチャンスも、頼みの中田が二飛。大谷、稲葉も無得点。指揮官が「あそこでどうにもできなかった」と悔いる勝負どころで、負けた。4回に松田の1発で同点とされてから我慢比べ。7回1死一塁から犠打を絡め、決勝点を奪ったソフトバンクとは皮肉にも対照的だった。

 クライマックスシリーズ進出圏内の3位はキープも、貯金1。下位3チームの低迷に、救われているのが現状だ。攻守に確固たる勝ちパターンが欲しいまま、最佳境を迎えた。この日、得点圏で2度凡退した中田は試合後、室内練習場へ稲葉を同伴しての特打へと向かった。「何とかしてくれると信じている。前に進むしかない」。悲痛な栗山監督だけではなく、全員が同じ思いを宿す黒星になった。残り20試合。後がない戦いへのエネルギーにする。【高山通史】