阪神が獲得を目指している中島裕之内野手(32、アスレチックスFA)との交渉が大詰めを迎えていることが25日、分かった。球団幹部によれば競合他球団の提示が出そろい、絞り込みに入った現在でも阪神が有力候補として残っている手ごたえがあるという。すでに4年10億円超から上積みをして2度目の提示を行ったが、今週中にも細部を再検討して“ダメ押し交渉”を行う見込みだ。

 争奪戦のゴールがおぼろげながらに見えてきた。球団幹部によれば、中島側は先週までに全球団の提示条件をもとに各球団との細かい交渉を重ねながら、絞り込みに入っているという。古巣西武らライバル球団との綱引きは依然として予断を許さない状況だが、前日までに中島の代理人と接触したところ、現在でも阪神が候補に残っているという。

 「手ごたえはある。あともう少しというところ」

 球団幹部は現在の状況をこう話した。球団は中島の代理人となった敏腕スコット・ボラス氏と一発提示を前提として、ここまで交渉を進めてきた。ただ、他球団の動向と代理人との接触の中で最大で4年10億円超の提示から先週中にさらなる上積みで再提示を行った。あくまで代理人との接触での手ごたえだが、この2度目の提示が有効だった模様だ。まだ、西武などライバルは残っている状況だが「あと少し」のハードルをクリアすれば、中島獲得というゴールが見えてきそうだという。

 この日、西宮市内の球団事務所で行われた会議ではオリックスから国内FA宣言した金子についての議論が行われたが、並行して、中島に対する最終交渉の話し合いも行われたとみられる。「条件のことは言えない」。球団幹部はあくまで条件面の詳細は明かさず、現在の提示が基本線だとしたが、出来高などの細部を含めて今後、歩み寄りの可能性はありそうだ。

 関係者によれば、中島側は12月初めにも結論を出す見込みだという。仮に中島が今週中に最終提示を並べて決断するとすれば…。ボラス氏が得意とするマネーゲームには応じない姿勢だが、相手側との話し合いの中で、猛虎が中島を獲得するための「あと少し」の部分を埋める“ダメ押し交渉”へ向かうことになりそうだ。

 ◆中島裕之(なかじま・ひろゆき)1982年(昭57)7月31日、兵庫県生まれ。伊丹北から00年ドラフト5位で西武入団。09年最多安打、08、09年最高出塁率と、強打の内野手として西武をけん引した。日本通算1225試合、1380安打162本塁打、738打点、141盗塁、打率3割2厘。12年オフにアスレチックスと契約も、2年連続メジャー出場の機会はなし。180センチ、91キロ。右投げ右打ち。