オリックス平野佳寿投手(30)が、チーム歴代投手の最高年俸をゲットした。9日、ほっともっと神戸で契約更改交渉を行い、3年9億円プラス出来高払いでサイン。総額も1年あたり3億円の基本年俸も投手では球団史上NO・1で、日本人選手に限れば野手を含めてもあのイチローに次ぐ大型契約。今季取得した国内FAは宣言せず、来季取得予定の海外FAも当面封印。最低3年は残留する守護神の存在も頼もしい“補強”だ。(金額は推定)

 平野佳は会心の笑顔だった。「想像以上!

 すごく評価していただきました」。3年9億円で1年あたり3億円。球団投手最高だった今季の金子の2億円を大きく上回り、前身の阪急はもちろん、オリックス投手最高の大型契約を勝ち取った。国内FA宣言した金子が残留なら再逆転される可能性もあるが、球団史全体でもイチローに次ぐ高給取り。昨季からの1億1000万円増で気分は最高だ。

 形はメジャー志向封印との引き替えになった。「今年は他球団に移る考えはなかった」と取得した国内FA権は行使せず。一方で来季取得予定の海外FAに関心を示した時期があった。だが5年連続60試合登板し、今季パ・リーグ新の40セーブを挙げた守護神に流出されては一大事。球団は誠意を破格条件で示し、元来オリックス愛が強く、残留か海外の2択が有力視された右腕を口説き落とした。

 次回の進路決定は3年後かの問いには「そうなると思います」ときっぱり。ただし生涯オリックスかの問いには「それは何とも言えないです」と含みを持たせた。だが少なくとも3年残留する平野佳の存在は、現在球団が進めている大型補強に匹敵する戦力確保と言える。平野佳の決意も新ただ。

 「単純にこのチームが好き。このチームで優勝したい。今年は失敗も多かったけど、来年はしょうがなく平野じゃなく、ここは絶対平野と言われるようになりたい。60試合以上、(3・43だった)防御率は1点台を目指します」。進むべき道が決まり、腹は固まった。もちろん19年ぶり優勝の瞬間はマウンドに?

 「いえ、胴上げ投手は金子でいいです!」。FAで去就未定のエースへ、粋な残留願いで締めた。【松井清員】