今年のNO・1野手は高校生だ。東海大甲府・高橋周平内野手(3年)が、今日27日に都内のホテルで行われる「プロ野球ドラフト会議

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 TOSHIBA」で、ヤクルト、中日、オリックスの3球団から競合指名される可能性が高くなった。高橋は高校通算71本塁打を誇る左の強打者。既に1位指名を表明していたヤクルトに加え、中日、オリックスも続々と参戦を決めるなど人気は急上昇。大学生投手に「ビッグ3」がいるにもかかわらず、高橋がドラフトの主役に躍り出そうな気配だ。

 野手の人材が不足しているといわれる今年のドラフト。直前になって、高橋の指名に踏み切る球団が相次いでいる。1カ月前に1位指名を表明したヤクルトに加え、中日、オリックスも指名の方針を固めた。「大学ビッグ3」の東洋大・藤岡貴裕投手(4年=桐生一)と人気を二分しそうな勢いだ。

 高橋は高校通算71本塁打を誇る左の強打者。甲子園出場経験こそないが、正確なミートと高校生離れしたパワーは他の追随を許さない。今夏の山梨県大会は準々決勝敗退も、「3割30本打てる打者」(ヤクルト斉藤スカウト)「プロの1軍でクリーンアップを打つようなスイング」(阪神菊地東日本統括スカウト)「左投手の変化球にも対応できる。将来球界を背負う打者になれる」(日本ハム大渕スカウトディレクター)など、スカウト陣からは称賛の声が相次いだ。

 その評価を揺るぎないものにしたのが9月1日のアジアAAA選手権、韓国との決勝だった。甲子園未経験者が日本代表に選出されること自体、極めて珍しい。期待の高さに応えるように、高橋は横浜スタジアムの右中間最深部へ豪快な先制2ランをたたき込んだ。注目すべきはバットが金属製ではなく木製だったということだ。

 高校生がプロや大学でプレーを続ける場合、まず心配されるのが金属バットから木製バットへの移行。金属に慣れると芯に当てられなくなったり、木を折ってしまうことがよくある。高橋はこの一発だけでなく、シュアな打撃で日本の優勝に貢献。3番打者としてMVP、打点王、ベストナインの3冠に輝いた。

 高校生野手がドラフトで3球団以上から重複指名を受けるのも異例といえる。過去に5つの例があるが、うち06年堂上直倫(現中日)、07年中田翔(現日本ハム)は高校生ドラフト。これを除くと、85年のPL学園・清原和博、92年の星稜・松井秀喜、最多7球団を集めた95年のPL学園・福留孝介以来、4人目の快挙となる。

 現在高橋のもとには、国内全12球団から調査書が届いている。今季は大学NO・1野手、慶大・伊藤隼太外野手(4年=中京大中京)の成績が芳しくないこともあり、ドラフト直前で高橋に人気が集中したとみられる。NO・1スラッガーは12球団OKの姿勢。幸運の女神は、どの球団にほほ笑むのだろうか。

 ◆高橋周平(たかはし・しゅうへい)1994年(平6)1月18日、神奈川・藤沢市生まれ。野球を始めた善行小では投手。中学時代は硬式の湘南クラブボーイズに所属し、2年時に4番三塁で全国V。東海大甲府では1年春に5番三塁、同夏から4番に座り、同秋から遊撃手にコンバート。3年時は主将も務めた。今春は県優勝、関東大会8強も夏は県準々決勝で山梨学院大付に敗退。8月のアジアAAA選手権では20打数13安打13打点でMVPに輝き、日本の優勝に貢献。高校通算71本塁打。小学生のころは巨人松井(現アスレチックス)に憧れ、高校では横浜筒香を目標にした。家族は両親と兄、姉。180センチ、83キロ。遠投105メートル、50メートル走は6秒4。背筋力は200キロ。右投げ左打ち。