今秋のプロ野球ドラフト会議でヤクルトから2位で指名を受けた東農大北海道の風張蓮投手(21=岩手・伊保内)が28日、網走市内のホテルで入団交渉に臨み、契約金7000万円、年俸1200万円(金額は推定)で仮契約した。背番号32は、ヤクルトで活躍した尾花高夫巨人2軍投手総合コーチが、現役時代につけていたもの。100勝投手のDNAを背負い、夢は大きく新人王を狙う。

 仮契約後、記者会見に臨んだ東農大北海道・風張の口調は、よどみなかった。「新人王のチャンスをいただけるなら、狙っていきたい。先発なら2桁勝利、中継ぎなら40~50試合をしっかり投げきりたいなと思っている」。まなざしは鋭く、目標は具体的で明確だ。先発ローテーション候補としてヤクルト真中満監督(43)の期待を集める151キロ右腕は、入団交渉の席上、球団側から期待の大きさを知らされて「グッときた」。間近に迫ったプロ入りへ、胸を高鳴らせた。

 背番号32に込められた、球団の思いも受け取った。「昔、尾花さんが付けていた番号と聞いて誇りに思うし、数字に見合う投手になれたら」。現役時代にはヤクルト一筋だった尾花巨人2軍投手総合コーチが、背負った番号。通算112勝を挙げた大先輩のDNAを、しっかりと受け継ぐ覚悟だ。

 今月行われた明治神宮大会でチームは初の4強入りも、自身は先発した1回戦で右太もも裏を痛めて、わずか16球の登板に終わった。大学入学後、初めて岩手・九戸村から試合観戦に来た両親に、神宮での勇姿を見せることが出来なかっただけに「プロで、しっかりと見せてあげられたら」との思いは強い。準決勝で敗退してから4日後には、ジョギングを再開。投球に支障はなく「来週には普通に走れるので、もう1度体を鍛え直します」と1月の新人合同自主トレを見据え、万全に仕上げていく。

 前身の国鉄、サンケイから数え、ヤクルトでこれまで新人王に輝いた選手は10人にのぼる。仮契約を終えて「責任感が湧いてきた」という即戦力右腕。同じく大卒ドラフト2位でヤクルト入りし、13年に新人王を獲得したライアン小川のように神宮の星となれるか。【中島宙恵】

 ◆ヤクルトの背番号32

 引退後に横浜(現DeNA)の監督も務めた尾花高夫が有名。入団した78年から引退した91年までの14年間背負って、通算112勝をマークした。93~96年は移籍してきた金森栄治がつけた。97~08年は小野公誠捕手、09~14年は新田玄気捕手。