WBC世界ライトフライ級王者・矢吹正道(29=緑)と前王者で同級1位・寺地拳四朗(30=BMB)の再戦が発表された。3月19日に京都市体育館でゴング。「因縁のダイレクトマッチ」とタイトルが掲げられた。昨年9月の再戦、会場も同じで立場だけが変わって行われる。

前回対戦は矢吹が序盤からポイントを奪い、終盤の寺地の猛追をしのいで10回TKO勝ちし、ベルトを奪取した。試合後、寺地陣営は9回に右目上をカットした場面でパンチによるものとの判断に対し「故意のバッティング」と主張し、日本ボクシングコミッション(JBC)に質問状を送付した。その回答書について不備を訴えるなど、問題はいまだくすぶっている。

そんな中で再戦が正式に決まった。日本人王者同士の激突に、バッティング問題を巡る因縁のスパイスも加わる。関西ボクシング界では久々に注目度大のビッグイベントととなるのは間違いない。

しかし、確実に視聴率がとれると予想されるテレビ中継については「調整中です」。前回対戦はカンテレ(関西テレビ、大阪市)の動画配信サービス「カンテレドーガ」での中継となった。はるかに注目度は高まっているが、関係者によるとなかなかスポンサーがつかないという。

ボクシング中継のあり方が変わってきている。YouTubeや動画配信サービスなど、手段として選択肢が増えた。昨年12月の“モンスター”井上尚弥の防衛戦も地上派中継はなく、有料配信のみ。4950円(税込み)という設定だったが、成功を収めている。

この手法ならテレビだけでなく、スマートフォンやタブレットなどで、通信環境さえ整えば、どこでも視聴ができる。かつては30%、40%台の視聴率をあげていた日本人が大好きなボクシング。その興味は薄れていないが、アプローチのやり方は変わってきたように思う。

矢吹VS寺地。因縁の再戦が、どういう形で届けられるのか、注目したい。【実藤健一】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)