今、WWEを席巻しているのは、WWEヘビー級、ユニバーサル統一王者ローマン・レインズ(36)が率いるユニット「ブラッドライン(血統)」だ。特にレインズを支える、いとこの兄ジェイ、弟ジミー(ともに36)の双子ウーソズはスマックダウン(SD)タッグ王者として300日のベルト保持期間に到達。ロウ、スマックダウンを超越し、両ブランドでレインズとともに存在感を示している。

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父はWWEで活躍し、15年にWWE殿堂入りしたリキシ。10年からWWEデビューしたジェイ、ジミーのウーソ兄弟が今、いとこのレインズとともに2大ブランド両方で躍動している。4月のレッスルマニア38大会でレインズがブロック・レスナーを下し、WWE最高位王座ベルト2本を統一した後、今度はSDタッグ王者ウーソズがロウ・タッグ王座とのベルト統一を狙っている。

今やロウ・タッグ王者ランディ・オートン、リドル組との抗争は元WWEヘビー級王者ドリュー・マッキンタイアも巻き込み、WWEの話題の中心となっている。昨年7月、レイ・ミステリオJr.、ドミニク・ミステリオ組からSDタッグ王座を獲得したウーソズの同保持期間は今月16日、16年の同王座設立以降、歴代トップとなる300日に到達。WWEのタッグチームとしての記録も残している。

21年7月にレインズとともに結成されたブラッドラインというユニット名もウーソズはお気に入りの様子だ。2人の血縁にはウマガ、ヨコヅナ、ザ・ロック(ドゥエイン・ジョンソン)がいるプロレス一家。サモアのレスラーで有名なアノアイファミリーのメンバーとなる。ジェイは「全員が集まった時、もうユニット名はブラッドラインしかないと分かっていた。誰が何と言おうとブラッドライン以外の名前が思いつかないさ」と振り返っている。

ユニット拡大も想定されている。ウーソズの弟ソロ・シコア(29)は昨年10月からWWEのNXTでデビューし、活動している。ジェイは「いとこたちが毎週テレビで自分たちを見ている。準備もできている。彼らが(アノアイファミリーの)名前をつなげていきたいと思っている」と明かせば、ジミーは「彼は次の列にいる。ブラッドラインが拡大できるのが待ち切れない」と強調した。

さらにジミーは自らの妻でWWEに所属するナオミのユニット入りにも言及し「彼女も新しいことを試す準備ができている。順応性もある」と可能性を示唆した。同ユニットの「スポークスマン」として働くポール・ヘイマンも「1年以上、ブラッドラインが続き、22年に入った。他の選手が加入することはきっとあるだろう。私たちが一緒にテレビに出ていないからと言ってブラッドラインの視界に入っていないという意味ではない」と付け加えた。

WWEに根づくアノアイファミリーの歴史を受け継ぐウーソズがマットで躍動するのは必然なのだろう。まだまだ拡大する可能性があるブラッドライン。レインズ一派を支える双子タッグチームが、今のWWEをけん引していると言っていい。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

◆ジェイ、ジミーのウーソ兄弟 1985年8月22日、米サンフランシスコ生まれの双子。本名は兄ジェイがジョシュア・サミュエル・ファトゥ。弟ジミーはジョナサン・ソロファ・ファトゥ。米ペンサコーラのエスカンビア高ではサッカー、ウエストアラバマ大ではアメフトで活動。プロレスを開始する前は引っ越し店で働いていた。父リキシによってプロレスの訓練を受け、09年にWWEの下部組織だったFCWでデビュー。10年5月にWWEデビューし、フェイスペイントに入場時にはシバタウ(サモア流ハカ)を導入して注目を集めた。14年にWWEタッグ王座を獲得した。スマックダウン・タッグ王座は現在、5度目の戴冠中。サイズはジェイが188センチ、110キロ。ジミーが191センチ、114キロ。

スマックダウン・タッグ王者ながらロウ大会にも姿をみせて活躍するジェイ(右)、ジミーのウーソ兄弟(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
スマックダウン・タッグ王者ながらロウ大会にも姿をみせて活躍するジェイ(右)、ジミーのウーソ兄弟(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.