WBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(24=大橋)が、9日(同10日)の同級7位アントニオ・ニエベス(30=米国)との6度目の防衛戦に向け、ロサンゼルス近郊のジムで練習を公開した。海外メディアから質問攻めにあうと、高まる期待にKO宣言で応えた。

 本場米国でも、井上への期待は桁違いだった。3日のロサンゼルス入り後、初めて報道陣の前に姿を見せるとあり、中継局の米ケーブル大手HBOなど50人以上の海外メディアがジムに殺到。井上が現れたのを確認すると、わずか8戦で2階級制覇を達成した日本の宝を瞬く間に取り囲み、矢継ぎ早に質問を浴びせた。

 「『怪物』というニックネームの由来は」「なぜその小さな体にそんなにパワーがあるのか」。1つ1つ丁寧に答えていた井上だったが、表情が変わったのは最後の最後。「子供みたいな見た目で、卵もつぶせないような感じに見えるが?」。そう振られると、苦笑いを浮かべながら「卵? じゃあ、つぶしてやりますよ」と強気に切り返した。

 13戦全勝(11KO)。圧倒的な内容の試合を連発し、満を持して迎えた米デビュー戦。本場の関係者は、初めて見るスター候補に期待を抱きながらも、同時に“モンスター”の名がふさわしいかの「テスト」の目も光らせている。井上自身も「また見たいと思わせられるかどうか」とこの一戦の持つ意味を理解し、「インパクトを残して、KOしたい」と未来をこじ開ける豪快決着を予告した。

 減量もリミットまで残り1キロを切り、練習はこの日で打ち上げた。慣れない環境にも、いつも通り万全の仕上がりを強調。10分程度シャドーボクシングを披露すると、足早に会場を去り、その後はホテルで体を休めた。準備を整え、静かにゴングの時を待つ。【奥山将志】