王者ホルヘ・リナレス(32=帝拳)が手負いながらも五輪金メダリストを破り、2度目の防衛を果たした。

 ロンドン五輪金メダリストとして4人目のプロでの世界王者を狙ったWBA同級1位ルーク・キャンベル(英国)を2-1(115-112、114-113、113-115)の判定で下した。WBC同級ダイヤモンド王者でもある3階級王者のリナレスは43勝(27KO)3敗で英国人選手に3連勝、キャンベルは17勝(14KO)2敗となった。

 リナレスは初回から鋭い踏み込みで、距離を測るジャブで様子をうかがうキャンベルに対してペースをにぎる。即座に距離感をつかみ、2回には右→左→右とつなぐ高速の連打で顔面をとらえてダウンを奪った。キャンベルは右目下を大きくカットするほど、キレ味抜群の一撃で快勝も見えた。

 ところが4回、リナレスをアクシデントが襲う。あばらを痛めたことにより、手数が減り、ステップでも時折不用意に足を止める場面が目立つ。試合中には痛がるそぶりは見せずに奮闘。中盤、打ち終わりに右フックをかぶせてくるサウスポーのキャンベルに手を焼いたが、11回、12回と最終盤でKOを狙って押し返す精神力の強さをみせ、接戦を制した。

 試合後には「(キャンベルは)タフな相手だった。多くの人がイージーな相手と言ったがそれは違う。彼は五輪王者なんだ。12回を通じてよく戦えた」と語った。