ロンドン五輪銅メダリストで同級11位清水聡(31=大橋)が、初防衛を狙った王者ノ・サミュング(韓国)を5回1分54秒TKOで下し、初タイトルを獲得した。4戦目での東洋太平洋ベルト獲得は、WBO世界ライトフライ級王者田中恒成と並ぶ国内最速タイ記録で、戦績を4戦全勝4KOとした。

 頭からバッティング気味に突っ込む往年の韓国スタイルを体現するノに、初回からリズムを乱された。映像では十分に研究したが、見るとやるとでは大違い。「これか」。もくろんでいたアウトボクシングを展開する前に、強引に距離を詰められ、「(パンチではなく)頭のボディーのほうが効いた」と、冗談交じりに振り返るほど。3回にはカウンター気味に右フックも顔面にもらった。

 流れをガラリと変えたのは、4回からの作戦変更。長いリーチの腕を折りたたんで、内側から細かい連打をまとめ続けた。頭を低くして懐に飛び込んでくる相手を迎撃、連打の雨を降らせた。効果はてきめん。4回残り30秒を切ったところで、ノのひざをリングにつかせると、続く5回にも猛ラッシュ。大橋会長が「これが清水の魅力、武器」というファイターの本領を発揮して、相手の土俵で圧倒してみせた。

 勝利後のインタビューでは、「村田をちょっと追い越したかな。あいつはベルトを持っていないので」。今月22日にWBA世界ミドル級タイトルマッチの臨む村田諒太。ロンドン五輪のメダリストコンビとして、親交厚い同世代に「20日間だけですけどね。これで村田も勝つでしょう」とエールを送った。