12年ロンドン五輪バンタム級銅メダリストで東洋太平洋フェザー級王者の清水聡(31=大橋)が、デビュー5連続KO勝利で初防衛に成功した。同級14位マンシト(25=フィリピン)から初回に右フックで先制のダウンを奪うとワンサイドで攻め続け、5回に右フックで2度のダウンを追加。7回に再び右フックでダウンを奪った後、集中打を浴びせてレフェリーストップ勝ちした。

 計4度のダウンを奪う圧勝だったが、試合後は「変な試合をして申し訳ないです。パンチの切れがあれば倒し切れていた。上半身と下半身がバラバラ」と、口をついて出てくるのは反省の弁ばかりだった。昨年、プロデビューして以来、足が思うように動かず、持ち味の179センチの長身を生かした遠い距離からの切れのあるパンチが打てていないという。「結局、力ずくのKOパターンになっている。自分のスタイルが崩れている」と何度も首をかしげて言った。

 会場もいまひとつ盛り上がらず、リングサイドのテレビの解説席にいたアマチュア時代からの盟友でWBA世界ミドル級王者の村田涼太(帝拳)の声がリング上まで聞こえてきて「気になった」という。「会場がシーンとなっていたのでね。盛り上がるような試合をしなかった自分の責任ですね」と苦笑いした。

 大橋秀行会長は来年に世界挑戦をさせたい意向を持っている。「次の試合までに調子を上げて、会長にKOをもらえるようにしたい。また模索して、もがきながら前向きに頑張りたい」。“プロ仕様”へのスタイルへの試行錯誤はもう少し続きそうだ。【首藤正徳】