昨年11月8日に30歳を迎えたオカダ・カズチカ(30)に30代の目標を聞くと、「男に好かれたいですね。見られる職業のゴールなのかな」と即答で返ってきた。

 頭に描くのはプロレス界なら天龍源一郎。15年11月に37歳差の引退試合を戦った昭和の偉人だ。わざわざ最後の試合に初対決の最強王者を指名し、代名詞のドロップキックを当時65歳の体で受け続けるすごみ。1歩も引かないその生きざまを試合で体感した。会場で響く太い声の大きさも身に染みた。「いまだにテレビでも天龍さんの引退試合は行ったとか、僕の知り合いとかでも普段行かない人が行ったりとか」。だから「男の人は生きざまに引かれるのかな」と考える。

 他業種では歌手の矢沢永吉も挙げた。「ずばぬけて支持されるスターってなかなかいないですよね。そういう格好いいおじさんになって、男の人があこがれるような男になりたいですね」。12年にヘビー級王座戴冠をしてから女性ファンを会場に連れてきたのがオカダだった。それが20代。絶対王者は今、新たな境地を見ている。【阿部健吾】