警視庁第3機動隊員がボクシングのプロテストを受験する。スーパーバンタム級杉田大祐(29)で、所属のワタナベジム渡辺会長が10日に明かした。アマ実績からB級(6回戦)で、実技のスパーリング3回は13日の東京・後楽園ホールでの興行で公開される。

 杉田は駿台学園から東農大に進み、大学日本一になった。元世界王者井岡一翔は2年で中退も同期。07年にプロボクサーのセカンドキャリアで警察官を推奨する活動を知り「体力、精神力を生かせる」と警察官に。警察学校を出た12年からボクシングを再開し、14年に機動隊入隊後、全日本社会人で2年連続優勝した。

 昨年の都大会で110番に通じる110勝を機にプロ転向を決意した。「警察官もボクサーも忍耐、抑制が必要で通じるものがある」と話す。通常は治安警備も熊本地震では現地派遣された。公務員は副業禁止のため、ファイトマネーは地域貢献などに寄付する。

 内山、井上、亀田和ら新旧世界王者とスパー経験もある。「どこまでいけるか。両立を体現することで、警察官を目指すボクサーを増やしたい」。井岡は大みそかに現役引退したが、杉田は新たに警察官プロボクサーの道に進む。【河合香】