世界3階級制覇を狙うWBO世界フライ級1位田中恒成(22=畑中)が階級転向初戦を9回2分26秒、TKO勝ちで飾った。

 11戦無敗の同級13位ロニー・バルドナド(22=フィリピン)から4回に左ボディーでダウンを奪取。相手のタフさに苦しんだが、最後はレフェリーが試合を止めた。

 田中は「勝てたのが1番で、冷静に考えたら、内容は50点」。スピード、左の打ち分け、左右のコンビネーション、ボディーワークに重点を置いたディフェンスなどを駆使して、試合を完全に支配した。ただ、仕留めきれなかった点には不満が残った。

 一方で「フライ級でやっていける自信はある」と話す。昨年9月のパランポン戦で同ライトフライ級王座の防衛に成功したが、両目眼窩(がんか)底骨折を負い、一時自信を失った。ただ、階級を1つ上げ、苦しんできた減量が1・8キロ楽になったことで、コンディションが改善。「練習がかなり楽になった。今まで2週間前になるとできなくなったスパーリングが、今回は1週間前でもできた」。またゴングが鳴るまで「怖かった」という両目も「問題ないです」とホッとした表情だった。

 リング上の勝利インタビューでは、ミニマム、ライトフライ級に続き「今年中の3階級制覇」をあらためて宣言した。リングサイドにはテレビのゲスト解説で訪れたWBOフライ級王者木村翔がいた。同級1位の田中にとって、最も現実的なターゲット。11戦全勝(7KO)で、12戦目の3階級制覇となれば、世界最速の田中は「まだ試合が終わったばかりで、正直何も考えられないけど、チャンスをもらえたら、やるしかない」と話す。木村は「まだどうなるかわからない」と前置きした上で「日本人対決は日本中が盛り上がる」と前向きだ。

 「木村VS田中」の実現は、ロンドン五輪ライトフライ級金メダリストの前王者鄒市明(ゾウ・シミン、中国)の存在もあり、不透明な部分は多いが、今年9月にも日本人同士のビッグマッチが実現する可能性がある。