大みそかにマカオで開催されるトリプル世界戦の予備検診が29日、現地のマカオボクシングハウスで行われた。

IBF世界フライ級王座に初挑戦する同級14位で大阪市大大学院生の坂本真宏(27=六島)は異常? な数値が判明。体温が34・9度と測定された。

見守った武市晃輔トレーナー(37)は思わず「34度台? 死んでますがな」。六島ジムの枝川孝会長(54)も「ありえへんやろ」。対戦相手の王者モルティ・ムザラネ(36=南アフリカ)も35・0度と計測された。坂本は電子体温計が「ピッと鳴る前にとられた」と“低体温症”の理由を説明し、周囲の笑いを誘った。

決戦を2日後に控えているとは思えないほんわかムードは、坂本の落ち着きの裏返しでもある。通算36勝2敗という歴戦の猛者、王者ムザラネと対面した印象を「同じ空間に立ったら、そうでもないですね。骨格的に手が長い感じはするけど、一ボクサーってイメージですね」と話した。

日本ボクシング界初の国公立大大学院生による世界挑戦へ。枝川会長が今後の成り上がりに期待し、あえて「シャワーのみで浴槽なし」という庶民派ホテルに宿泊させるが、坂本は意外? なたくましさを発揮。大阪市大ボクシング部の3学年下にいた中国人の後輩に連絡し、試合会場の高級ホテル・ウィンパレスに交渉してもらい、湯船につかれるサウナを予約してもらった。「判定じゃないです。相手を倒す試合がしたくて、それだけを考えてます」。工学研究科で機械物理学を専攻する“理系男子”が、すっかり戦う男の顔になってきた。