大阪市立大で初となるプロボクシング開催が27日、発表された。5月26日に同大第二体育館で行う。

メインは昨年末にマカオでIBF世界フライ級王座に挑戦し、10回TKO負けした坂本真宏(28=六島)の再起戦。WBOアジアパシフィックフライ級王座決定戦で同級2位の坂本が、同級3位の阪下優友(角海老宝石)とタイトルをかけて対戦する。

同バンタム級タイトル戦も行われ、同級14位ストロング小林佑樹(27=六島)が王者ベン・マナンクィル(フィリピン)に挑む。

坂本が大阪市立大大学院工学研究科機械物理学を専攻する学生で“史上初”が実現した。後押ししたのは荒川哲男学長(68)でこの日の会見にも同席。当初はマカオで王座を奪取し、母校で初防衛戦のプランだったというが、荒川学長は「坂本君は文武両道で頑張っている。勝負事は負けた方が得るものは多い」と学習の場にする考えだ。

坂本は異色の理系大学院生の世界挑戦で注目された。結果は完敗だったが、試合前から別の不安を抱えていたと明かした。試合約1カ月前の定期健診で脳に白い影…。「相当、ビビってしまって」と言うが、気持ちを奮い立たせて世界戦に集中。その試合後、今年2月に受けた再検査の「結果次第で」引退も考えた。その結果は異常なしで、再び世界を目指す気持ちを固めた。

大学院を来年度に卒業予定。修士論文のテーマは「酸化チタン」という主に建築の素材分野。周りは就職活動の季節だが、坂本はボクシングにまい進する。過去にロボット工学関係の企業からの内定を辞退した。「40代では技術者に。社会の役に立つ仕事をしたい」と描くが、それまでは世界王者への夢を追う。「打ち合っておもしろい試合をしたい」。博士と王者、超異例の二刀流を極める。