東京オリンピック(五輪)出場を目指す世界4団体ミニマム級王者の元プロボクサー高山勝成(36=名古屋産大)が24日、国体兼全日本選手権愛知県選考会(7月6日開幕、名古屋工学院専門学校第3体育館)でのアマチュアデビューを前に大阪市内で練習を公開した。

高山は練習前に会見。「うれしい気持ちでいっぱい。力いっぱい戦います」。五輪挑戦を掲げて17年春のプロ引退、昨年10月に日本ボクシング連盟にアマチュア登録を認められるまで、紆余(うよ)曲折を経て迎える舞台への決意を語った。

ただ、ボクシングは一時、国際ボクシング協会(AIBA)の組織運営、財政問題などで東京五輪での競技実施が危ぶまれる混迷が続いただけに、代表選考基準や手順はいまだ不透明な段階だ。一方で全日本選手権の結果が、代表選考過程で重視されることは間違いない。

会見に同席した、プロ時代から高山を支える中出博啓トレーナー(59)は「今回のデビューは、イメージとしては甲子園の地方大会1回戦。要はすべて勝たないといけないぐらいの気持ち。目指すのは(東京五輪ボクシング競技会場の)両国(国技館)の決勝ですから」と、高山の思いを代弁した。

高山はプロではミニマム級(47・6キロ以下)で活躍したが、アマチュアではフライ級(52キロ以下)を戦場にする。プロ基準なら3階級上のスーパーフライ級に該当するフィールドだが「プロでも(前日計量で)47・6キロまで落とし、51・5~52キロぐらいでリングに上がっていた」と、大きな問題ではないことを強調。むしろグローブが8オンスから10オンスとなり、しかもナックル部分が先に長くプロと形状の異なるものとなる点を重視し、トレーニングを積んできたという。

この日は中出トレーナー相手にミット打ちなどで軽快な動きを披露した。フォームも改造済みで、アマチュアで減点の対象になりがちな頭の位置の低さを解消したアップライトな構えから鋭いパンチを見せた。

また最長12ラウンドだったプロと違い、アマチュアは3ラウンドの“短期決戦”となるが、そちらも準備に抜かりはない様子。高山は「3分3ラウンドで戦う体を作ってきた。残り2週間でコンディションを整えます」とアマチュアデビューに自信を見せた。