王者田中恒成(24=畑中)が3度目の防衛に成功した。同級10位ウラン・トロハツ(26=中国)を3回KOで下した。最高の形で19年を締めくくった。

試合後は「序盤はジャブでペースを握ろうと。『もうそろそろ(相手との距離を)詰めていいな』と3回から圧力を強めた」余裕の表情。「いい手応えありました」とフィニュッシュブローの左アッパーを振り返った。

試合前は「今回(の試合)に向けていい練習が積めた。自分自身との戦いをテーマに置いている」と話していた。さらなる進化へ、新たな試みに取り組んだ。「有酸素系の運動が嫌い」とこれまでロードワークは10キロまでと決めていたが「今回は11、12キロ、15キロいった」。田中いわく「10キロ以上は走らんと決めていた。嫌いやから。イヤだからいつもやめていたが、(超えた時に)やれた実感があった」。自身で覆っていた殻を打ち破った。

そしてジャブ。「今までジャブで差し負けることが多かった。スピードを意識しながらスピードを生かせず、最後はパワーでねじ伏せるパターン。倒すパンチじゃなく、ペースをつかむためのジャブです」。新たなボクシングスタイルを構築してきた。

これで無傷の連勝を15に伸ばした。最高の年越しを迎え、20年は新たな挑戦に臨む。

◆田中恒成(たなか・こうせい)1995年(平7)6月15日、岐阜県多治見市生まれ。幼少期から空手をはじめ、中京高(岐阜)でインターハイ、国体優勝。13年11月にプロデビュー。14年4月に中京大進学。同年10月、4戦目で東洋太平洋ミニマム級王者、15年5月、日本選手最速の5戦目でWBO世界同級王座を獲得。16年大みそかに同ライトフライ級王者、18年9月に同フライ級王座を獲得し世界最速タイ12戦目で3階級制覇。身長164・2センチの右ボクサーファイター。