都内で新型コロナウイルスが感染拡大する中、注目の日本人対決は徹底した感染対策で実現にこぎつけた。日本ボクシングコミッション(JBC)は、両選手とトレーナーに試合1カ月前、2週間前、2日前と3度のPCR検査を義務づけた。試合の2日前からは選手をホテルの部屋に隔離して、チーフセコンドらスタッフとの接触も遮断した。

11月のWBA世界スーパーフライ級タイトルマッチが大きな教訓になった。試合前日にスーパー王者の京口紘人(ワタナベ)とチーフトレーナーの感染が判明して、試合前日に中止になった。「あの試合では検査はお願いでしたが、今回は3段階で義務づけました。また何か起きたときに1日前の検査では対応が難しいので、最終検査を試合2日前にしました」とJBCの安河内剛事務局長。

選手が濃厚接触者になることにも神経をとがらせた。選手とトレーナーはバラバラで移動するように要請した。ホテルも1人1室。レフェリーは試合前日から隔離。JBC関係者をはじめ試合を中継するTBSのスタッフもPCR検査を受けて、この一戦に備えた。

観客は収容人数の半分以下の2000人に制限した。会場も動線を区切って、至るところに消毒液を設置した。「京口の世界戦中止が大きな教訓になった。今回は特にテレビ中継もある注目の日本人対決。絶対に実現させるんだという覚悟で、両陣営ともJBCのリクエストはすべて実行してくれた」と安河内事務局長。コロナ禍の世界戦を関係者一丸となって実現させた。