GHCヘビー級王者の武藤敬司(58)が、6人タッグマッチに出場し、清宮海斗(24)との前哨戦に勝利した。3月14日初防衛戦(福岡)で挑戦を受ける清宮を寄せ付けず、王者の貫禄を見せた。

今月12日の日本武道館大会で潮崎を破り初タイトルを手にした。その後の会見では清宮に対し「安パイ(安全パイ)」と大好きなマージャン用語で挑発していた。実際に肌を合わせても「タイトルを取って燃え尽き症候群になるかと思ったが、潮崎以上の怖さはなかった。まだ安パイの域は脱していない」と言うほど、手応えを感じられなかった。さらに「期待の星なのは分かるが、もっとスピーディーに成長して欲しい」と35歳下の若手にハッパを掛けた。

一方で武藤は絶好調。12日の試合後「全治1カ月」と語っていた疲れも見せず、清宮の執拗(しつよう)な絞め技もうまく回避し、バックドロップを決めるなど軽快な動き。終盤には稲葉に2発のシャイニングウィザードを決めて3カウントを奪った。

昨年8月にシングルマッチで対戦し、清宮に足4の字固めで勝利。普段から「対策なんてしないよ」と言うが、その時の記憶はしっかり残っているからこその「安パイ」発言だ。今月15日にノアと正式契約を結んだ武藤。「一員として親切ていねいに清宮をつぶしにいく」と意気込んだ。58歳の余裕の勝利発言に、タッグを組んだ丸藤は「武藤さんを攻略するにはマージャンを覚えた方がいいかもな」と清宮に忠告。武藤は最後に「俺はマージャンは弱いんだよ」とオチを付け、周囲を笑わせて会場を後にした。【松熊洋介】