プロボクシングWBO世界ミニマム級王者谷口将隆(28=ワタナベ)が22日、東京・後楽園ホールで同級5位石沢開(25=M.T)との初防衛戦に臨む。前日計量で体重を大幅超過した挑戦者による同日午後5時半の当日計量でリミット(47・6キロ)よりも3キロ増までという制限がクリアされ、試合成立することになったが、王者にとってはリスクの高い世界戦となる。

世界主要4団体のうち、WBOだけがタイトル戦に関係なく、試合で王者が負ければ王座陥落となる。挑戦者の体重超過の場合、他3団体は王者が負けても王座は保持される規定があるが、WBOは日本王座と同様に空位になる規定だ。今回、谷口-石沢戦のWBOスーパーバイザーを務める日本ボクシングコミッション(JBC)の安河内剛顧問は「WBOはJBCと方向性が同じで、そもそも体重が公平でない選手同士が戦うべきではないということを暗に示している」と解説する。

石沢の49・9キロはフライ級(50・8キロ)に近く、ほぼ2階級上と公平性に欠ける。負ければ王座剥奪となる谷口にとってメリットが少ないカードとなる。計量パス後、本人も「リスクはデカイですね」と率直な気持ちを口にしている。試合前日のドクターチェックでも谷口は「最後の2・5キロは地獄なので」と明かす通り、脈拍は104(石沢は55)、血圧も96/86(石沢は128/69)と減量の過酷さを示す。この減量苦がなかった石沢よりも、ダメージは大きいと言える。

谷口陣営からも「ボクシングだけするならやるべきではない」という試合中止の声も出ていたが、20年2月から続くコロナ禍で世界戦を国内開催できるチャンスは少ない。外国人挑戦者を呼び、コロナ対策を敷いて滞在してもらう費用だけでも高額になる。後援者の応援、谷口も王座奪取報告に足を運んだ父の出身地、鹿児島や母校の龍谷大でパブリックビューイングも予定。数多くの関係者によるサポートもあるため、谷口は「17時半計量」「試合当日はリミットより3キロ増まで」など細かい条件を石沢陣営に了解してもらうことで出場を決断していた。【藤中栄二】