「カネロ」の愛称で人気の高いプロボクシング4団体統一スーパーミドル級王者サウル・アルバレス(31=メキシコ)が1階級上の「最強王者」に敗れた。19勝(11KO)無敗のWBA世界ライトヘビー級スーパー王者ドミトリー・ビボル(31=ロシア)に挑み、判定負けを喫した。ビボルは9度目の防衛となった。
同級は19年11月、当時のWBO王者セルゲイ・コバレフ(ロシア)を11回TKO撃破して以来の挑戦だったアルバレスにとって、13年9月、フロイド・メイウェザー(米国)に判定負けして以来、約8年8カ月ぶりの黒星となった。
◆カネロ アルバレスのニックネームで、スペイン語でシナモンの意味。赤毛から由来している。
◆WBA世界ライトヘビー級タイトルマッチ
アルバレス | ● | 12回判定 | ○ | ビボル |
◆ラウンドVTR◆
1R
オーソドックス(右構え)同士の対戦。身長、リーチともに上回る王者ビボルが左ジャブで距離を取り、挑戦者アルバレスは右ストレート、右ボディーストレートで近づいた。終盤にはロープに追い詰め、右アッパーも繰り出した。
(アルバレスの10-9)
2R
左ジャブで距離を保ちながら様子をうかがう王者ビボルに対し、挑戦者アルバレスはしっかりとガードを上げて前に出る。パンチの回転力を上げてきたビボルは距離を縮めて攻勢に出た。アルバレスの終盤の大振り左フックは空を切った。
(ビボルの10-9)
3R
挑戦者アルバレスの力強くパンチに王者ビボルが後退したが、逆にビボルも連打でロープ際に追い込むシーンを演出。接近した距離の時間帯が増え、ビボルの連打に対してアルバレスが1発1発の重いパンチで応じた。最後はビボルがアルバレスを追い詰めて連打で締めた。
(ビボルの10-9)
4R
挑戦者アルバレスがギアを上げて序盤から左フック、右ストレートでペースをつかむ。ビボルのの連打をしのぎ、パワフルに前に出ると、何度もロープに追い詰めて右アッパー、右強打を放った。ビボルの動きが少し止まり、アルバレスのペースになった。
(アルバレスの10-9)
5R
足を使ってきた王者ビボルの追い詰めるように挑戦者アルバレスは右強打を放った。10連打近くを浴びたものの、ロープを背に「こい」とポーズする余裕もみせ、ビボルの攻撃を要求するシーンもあった。ビボルの連打を見極めながらワンツー、左フックも打ち込んだ。
(ビボルの10-9)
6R
ワンツー、左ジャブからの右ストレートで攻めた挑戦者アルバレスは、王者ビボルにフェイントを使って翻弄する。ビボルの動きを見極めながら、1発1発のパンチに力を込めて反撃。終盤はビボルの動きを見極め、様子をみた。
(アルバレスの10-9)
7R
高いガードで前に出た挑戦者アルバレスは序盤にワンツーを多用。王者ビボルの連打をうまく回避しながらガードの合間を縫った右ストレートを打ち込んだ。ローブを背にしたビボルの反撃もかわし、要所でパンチをヒットさせた。
(アルバレスの10-9)
8R
王者ビボルが高速ジャブ連打、右ボディーストレートで攻めると、挑戦者アルバレスをロープに追い詰めてチャンスを狙った。強く踏み込んだワンツーを打ち込んだ。接近戦ではアルバレスがスリップで倒れるシーンもあった。
(ビボルの10-9)
9R
挑戦者アルバレスが序盤にワンツー、右ストレートを放ってペースを握った。王者ビボルのパンチをかわしながら、右ボディーでロープに追い詰め、左フック、左ボディーで攻めた。手数の減ってきたビボルの様子を確認しながら動いた。
(アルバレスの10-9)
10R
両者ともに距離が近づき、王者ビボルが3連打、挑戦者アルバレスも左ボディー、右ストレートを狙った。ビボルが左フックをクリーンヒットさせ、さらにコーナーに追い詰めるシーンも。足を使ってきたアルバレスを追い詰めようとしたが、疲労からか連打は少なかった。
(ビボルの10-9)
11R
すぐに距離を詰めた挑戦者アルバレスは左フック、左ボディーを打ち込み、王者ビボルにプレッシャーをかけた。左ジャブ連打からの右ストレート、ガードの上からの左フック、左アッパーを放てば、ビボルも右強打で応戦。終盤はビボルがロープに追い詰めた。
(アルバレスの10-9)
12R
挑戦者アルバレスが頭をつけながら王者ビボルのボディーにパンチをねじ込めば、ビボルも顔面への連打で反撃した。左ジャブ、左フックでアルバレスの動きを見極めながら、右ストレートも打ち込んだ。ビボルが3連打でロープに追い詰めて試合終了となった。
(ビボルの10-9)
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