史上初の高校8冠を含むアマ10冠ボクサー今永虎雅(たいが、22=大橋)が鮮烈なプロデビューを飾った。62キロ級契約体重6回戦で浜崎隆広(36=仲里)と拳を交え、2回2分49秒、KO勝利を挙げた。1回から鋭い右アッパーで顔をのけぞらせると、2回には左ストレートでダウンを奪取。右フックでダウンを追加すると、相手陣営の棄権申し出により、そのままKO撃破となった。選手層の厚いライト級で世界を狙う大物ルーキーが力強く1歩を踏み出した。

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冷静沈着に仕留めた。サウスポースタイルから今永が左ストレート、左アッパーで後退させた。2回、左ストレートを打ち抜き、ダウンを奪取。立ち上がった浜崎のこめかみに的確な右フックをヒットさせてダウンを追加すると、カウント途中に敵陣営の棄権申し出があり、白星デビューが決まった。

プロ初勝利を挙げ「めちゃめちゃ緊張しました。初めてのプロのリングでグローブも小さい。練習したことを出せずに力んでしまった」と苦笑しつつも、冷静に試合ペースをつかんだことに手応えもあった。「自分のやってきたことを試合で出すことを考えてやってきた。アマ10冠は重圧と考えず、アマとプロは違うと区切りをつけていた」と最後まで謙虚な姿勢を貫いた。

元世界3階級制覇王者八重樫東トレーナーのフィジカルトレを受け、3月の入門時よりも肉体はビルドアップした。パンチのキレも増した。チケット購入してくれた後援者、スポンサーらに感謝しつつ「ボクシングに集中できる環境の中で結果を出さないといけないので、気持ちはアマ時代とは違う」と気を引き締めて初陣リングに立っていた。

階級は違うものの、同門の先輩となるWBAスーパー、WBC、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(29)を目標にプロ転向した。高校の実績では「井上超え」を果たしており、期待の新人として注目される。「世界の強豪と戦えるようにもっと練習して頑張りたい」。プロらしく、力強く、今永が白星発進した。【藤中栄二】

 

◆今永虎雅(いまなが・たいが)1999年(平11)8月9日、大阪・河内長野市生まれ。父裕之さんの勧めで幼少期から空手を学び、中学1年からボクシングを開始。奈良・王寺工高時代、同じ高校の荒本一成とともに総体3連覇、選抜2連覇、国体3連覇という史上初の高校8冠を達成。東洋大進学後の2冠を合わせてアマ10冠を獲得。得意パンチは左ストレート。家族は両親と弟、妹。身長177センチの左ボクサーファイター。通常体重は69キロ。

 

◆ライト級 リミット58・96キロ~61・23キロで全17階級中の真ん中。体重70キロ前後の選手が絞ってくる。男性の平均的ウエートで層が厚く、本場の米国や中南米でも人気が高い。デュラン(パナマ)、アルゲリョ(ニカラグア)、チャベス(メキシコ)、カマチョ、デラホーヤ、メイウェザー(すべて米国)などスターを輩出し、現在も元3団体統一王者の「ハイテク」ロマチェンコ(ウクライナ)、元世界3階級王者リナレス(帝拳)が主戦場とする。日本人で世界王座を奪取したのはガッツ石松、畑山隆則、小堀佑介の3人。

 

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