13年、17年に続く3度目の制覇を狙う内藤哲也(40)が、今春のニュージャパンカップ(NJC)覇者のザック・セイバーJr(35)を退け、Cブロック突破を果たした。

昨年のG1初戦、今春のNJC決勝と、苦杯をなめさせられたライバルに雪辱。17日から同会場で始まる決勝トーナメントも不動心で戦い抜く。

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一瞬の隙を見逃さなかった。1分58秒。内藤がセイバーJrを首固めで丸め込むと、会場はため息と拍手が入り交じった。誰も予想しなかった3カウント。ここまで4勝で首位に立っていたセイバーJrに勝ち点で並び、直接対決を制した内藤がCブロックを突破した。

数奇な巡り合わせだった。セイバーJrには、昨年のG1初戦で敗北を喫しただけでなく、左膝を負傷させられ、約2カ月間の欠場に追い込まれた。さらに今春のNJCの決勝では返り討ちにあった相手。因縁のライバルを退け「勝てば脱落はない。余裕を持ちながらリングに立てました」と、喜びをかみしめた。

掲げ続けてきた目標がある。来年1月4日に行われる東京ドーム大会のメインイベンターに返り咲くこと。今年はIWGP世界ヘビー級王座に2度挑戦も敗退、G1も開幕連敗スタートと、崖っぷちに立たされた。だが、ラストチャンスと位置付けて臨んだリーグ戦。「追い込まれるほどワクワクしてしまう自分がいた」と、冷静沈着なファイトで勝ち抜いた。破竹の4連勝。早々に自力突破の可能性はついえていたが、運も味方につけ、棚橋や後藤ら実力者ぞろいのCブロックを突破した。

「逆転の内藤」を体現する。再三の故障に悩まされてきたが、その度にメンタルを強くした。今年5月には人生で6度目の手術となる右目の手術を受けた。以前は、けがの度に「周りに置いていかれるんじゃないか」と不安に駆られたが、欠場もリフレッシュの期間と前向きに捉えられるようになった。大好きなプロ野球・広島の試合を、終了まで観戦できることへの喜びに浸れるほど。

合言葉は「トランキーロ。あっせんなよ」。17日はDブロックを突破したウィル・オスプレイと準決勝で対戦する。「めちゃめちゃワクワクする」。どこまでも不動心で勝ち上がる。【勝部晃多】