「スピードスター」と呼ばれる東洋太平洋フライ級王者桑原拓(27=大橋)が51秒殺で「王者対決」を制し、世界戦に向けて最高のアピールをしてみせた。

メキシコ同級王者ホセ・リバス(29)との51・5キロ契約体重8回戦に臨み、開始51秒、TKO勝ちを収めた。いずれも左フックでリバスの顔面を打ち抜き、2度のダウンを奪ってキャンバスに沈めた。

東洋太平洋同級王座獲得後初試合で秒殺劇をみせた桑原は「初めてアジア圏外のボクサー、初めてのメキシコ人相手でしたが、メキシカンを感じる前に終わってしまいました。当初の予定ではじっくりと見ようと思っていたので」と笑いを誘いながら圧勝劇を振り返った。

昨年10月の東洋太平洋同級王座決定戦で世界ランカーのジーメル・マグラモ(フィリピン)を下した桑原は当初、同級2位エイプリル・ジェイ・アブネ(フィリピン)との指名試合による初防衛戦が予定されていた。しかし相手陣営のパスポート不備が判明し、延期となっていた。所属ジムの大橋秀行会長(58)は「18勝(10KO)のメキシカンだったので苦しんで判定勝利かなと思っていた。ちょっと(KOが)早すぎだけど最高のアピールだよね」と合格点を出した。

現在、桑原はWBA世界フライ級ランキングで6位に入るなど世界挑戦も射程圏内に入っている。次戦について、大橋会長は「次は指名試合をやらないといけない。(アブネは)強敵なので、次に勝ったら世界へ行けると思います」と期待を寄せていた。