アマ13冠で東洋太平洋フェザー級2位の堤駿斗(23=志成)が国内最速3戦目で同王座獲得に成功した。

世界挑戦の経験を持つ同級3位ジョー・サンティシマ(27=フィリピン)と同王座を懸けて拳を交え、3-0(118-110、119-109、120-108)の判定勝利を収めた。元世界3階級制覇王者田中恒成(畑中)、元東洋太平洋、WBOアジア・パシフィック同級王者清水聡(大橋)のプロ4戦目を抜く国内最速での同王座奪取となった。

22年7月のプロデビューから約10カ月での初タイトル獲得。ダウンこそ奪えなかったものの、ポイント差で完勝と言える内容だった。堤は「せっかく回ってきたチャンスを1回目でつかむことができて、ほっとしています。プロキャリア3戦目で12回戦。強敵に力の差をみせることができて良かった。(国内最速記録に)この機会をつかむことで自然と記録がついてくる。目の前の試合を乗り越えれば世界王者になれると思う。日々精進したい」と安堵(あんど)の笑みでベルトを手にした。左ジャブからの右、左フック、接近戦での右アッパーなど多彩な攻撃で主導権を握ると、7回には切れ味よい右で相手の左目下を切り裂き、11回、12回は連打で追い詰めた。

この3戦目から元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者内山高志や元世界4階級制覇王者井岡一翔を担当してきたトレーナー、佐々木修平氏との初コンビを組み、効果的にパンチ力を生かすスタイルに着手。左ジャブから効果的に右を生かすパターンを吸収してきた。さらに今年4月から約1カ月間、米ラスベガスでキューバ人トレーナー、イスマエル・サラス氏のもとスパーリングを中心とした実戦練習も積んできた。その成果をリングの上で示した。

幼少時代、空手で一緒だった無敗の格闘家・那須川天心(24=帝拳)がプロボクサーに転向し、4月8日のプロデビュー戦で判定勝利を収めてスーパーバンタム級で日本、東洋太平洋ランキングク入り。またアマ時代のライバルだった「ミライモンスター」松本圭佑(23=大橋)が同18日に日本フェザー級王座を獲得した。2人の活躍にも刺激を受けながら、自身もプロ初タイトル獲得に成功した。

国内最速となるプロ4戦目での世界王座奪取のチャンスもある。しかし堤は「今日の試合結果では厳しいですが、世界での経験を積む機会はある。自分自身のペースでしっかりやっていきたい」と着実にキャリアを積む姿勢を示していた。

 

◆堤駿斗(つつみ・はやと)1999年(平11)7月12日、千葉市出身。幼少時代から空手、小学5年でボクシングに転向。キックボクシングも並行し、同じジムで那須川天心と一緒に練習し、交流も深い。中学2年からボクシングに専念。プロ主催のU-15、アマ主催のアンダージュニアなどで全国制覇。習志野高時代はフライ級、バンタム級で高校6冠を達成。16年世界ユース選手権(フライ級)を日本男子で初制覇、全日本選手権も制覇するなどアマ13冠。家族は両親と兄、弟。身長171センチの右ボクサーファイター。