WBOアジアパシフィック・スーパーフェザー級、東洋太平洋同級王者の力石政法(29=緑)が夢の兄弟世界王者へ前進した。世界挑戦経験のある元世界2位リカルド・ヌニェス(29=パナマ)と対戦。3回2分16秒KO勝ちした。「世界前哨戦」に快勝し、次は世界を目指す。

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力石がヌニェスの腹に左を突き刺した。3回2分16秒、ヌニェスはキャンバスに膝をついたまま立ち上がれない。カウントアウトのKO勝利を飾った。

リングサイドには、左アキレス腱(けん)断裂の重傷を負いながら駆けつけた、元WBC世界ライトフライ級王者の兄、矢吹正道が声をからしていた。「兄ちゃんの『ボディーを狙え』という声が聞こえたんで」。兄弟の絆が快勝へと導いた。

会心の勝利だが力石は苦笑い。「結果は80点だけど内容は10点ですわ」とダメだしした。約2週間、単身で行ったフィリピンでのスパーリング合宿から帰国後、体調を崩した。

練習も約2週間できず「スタミナに不安があった」という。実際、試合で今までにない苦しさを感じていた中で、3ラウンドで勝負をつけた。「よかったぁ、本当に。でもダメダメでしたわ」と言った。

次戦は「世界(挑戦)一本ですけど、課題もあるんでこだわりはない」という。亀田興毅ファウンダー(36)は来年1月の3150FIGHTの大舞台での実現に向けて、王者陣営と交渉を行っている。

世界の壁が分厚い階級だが、力石はKOという最高の結果で応えてみせた。【実藤健一】