9月5日に4度目の防衛戦を控えるWBC世界フライ級王者・八重樫東(31=大橋)が、12年の井岡戦以来、約2年ぶりとなる12回のスパーリングで「仮想ロマゴン」対策を行った。13日、横浜市内の大橋ジムで、世界ランカーを含むフィリピン人選手3人を相手に、試合と同じフルラウンドの実戦トレを敢行。無敗の最強挑戦者ローマン・ゴンサレスを想定し、打たれ強さにも手応えをつかんだ。

 久しぶりの12回を終えた八重樫は、確かな手応えを感じていた。中盤、セコンドからパートナーにボディー打ちの指示が飛んだ。大橋会長が「世界一」と称するゴンサレス得意のボディーを想定した練習。あえて足を止め、パンチを浴びたが「全然効かなかった」。週4回通うフィジカルトレーニングで強化してきた体に、自信を深めた。

 本番さながらの実戦練習だった。8回終了時には「ここまでは五分。勝負はここから」。最終12回は「もっといけ」と、さまざまな試合展開を想定し、セコンドから指示が飛んだ。八重樫も「疲れました。(井上)尚弥みたいに、若くないので…」とおどけたが、打たれた直後に強烈な連打を返すなど、熱のこもったパンチを披露。「初めての相手とスパーをするのは久しぶりだったので、楽しかった。良い刺激になりました」と気持ちよさそうに汗を拭った。

 元2階級制覇王者ゴンサレスとのボクシング界注目の一戦まで、残り3週間。相手の対策は既に終えており、「あとは手数。9・5にピークを持っていく」と課題を挙げた。八重樫がペースを上げてきた。【奥山将志】