太っ腹なお相撲さんのこと。大関以上を目指すための1200万円を超す「授業料」なんか安いもの!? 期待通りきっぷの良いコメントを返してくれたのが嘉風(34=尾車)だ。「すげえ、1200万円ですか。悔しさはないですよ」。

 横綱、大関を目指す三役以下で今年最も懸賞を逃した「授業料を払ったで賞」は413本の嘉風。手取りにして1239万円だ。そんな数字を告げられても、土俵狭しと動き回る年齢を感じさせないベテランは感謝の念でいっぱい。「それだけ注目されている。励みになります」と話した。

 懸賞が多くかかる上位陣と対戦できるのは、それだけ番付上位を維持しているからこそ。嘉風も今年、関脇から前頭5枚目の間に在位した。もちろん懸賞金ゲットの良き思い出もある。昨年秋場所3日目。白鵬に続き鶴竜と横綱連破の一番には37本の懸賞がつき「懸賞の束が2列だったんですよ」と懐かしむ。1239万円を逃す一方で、今年は507万円(169本)をしっかりゲットした。

 大枚を逃しても、タダでは起きない。今年は4場所で負け越したが「負けても拍手をもらえるような、懸賞も『懸けて良かったな』と思われるような相撲を取りたいです。まだ若いっすよ」。老け込むには早すぎる。嘉風には、そんな言葉がピッタリだ。