横綱白鵬(32=宮城野)に史上最多の通算勝利数(1047勝)で並ばれた元大関魁皇の浅香山親方(44)は、白鵬の一番を時計係の審判員として向正面の土俵下で見届けた。

 打ち出し後は審判部室で着替えを済ませると足早に、迎えの車が待つ駐車場に向かった。報道陣の問いかけに「まだまだ通過点でしょう。俺からしてみれば(自分が記録保持者ということを)忘れてた頃に、名前を思い出してもらえるだけでありがたい」と、まずは謙遜の言葉を発した。

 もちろん白鵬の強さに対し、敬意を表することも忘れない。歴史的一番を、しかと見届けて「強さは十分、伝わってくるし、今日なんかも気迫が伝わってきた」と話した。

 記録で並ばれた悔しさなど、どこにもない。自分は、千代の富士(先代九重親方)が持つ最多勝利記録を2つ更新して引退したが、白鵬については「まだまだ、こんなもんじゃないでしょう。見ている人が(今後)どれだけ伸ばせるのか楽しんでもらえるんじゃないですか」と言って車に乗り込んだ。