鶴竜が栃ノ心との全勝対決を制した。192センチの巨体に立ち合いで頭から低く当たり、激しい張り合いの中で右下手でまわしをつかむ。相手の胸に頭をつけ、右をさらに深く差し、一気に寄り切った。「相手にまわしをつかませないように。前傾姿勢で崩れなかったのが良かった」。

 勝利の方程式があった。過去の対戦成績は20勝1敗。この日の朝稽古後「最近、上半身が大きくなって、力強さが増した感じ」と警戒はしていた。怪力を誇るサンボの元欧州王者。まわしを許すと危ない。同時に「今までは上半身を起こすと取りやすかった」とも言った。最後はいつものパターンに持ち込んだ。

 元横綱日馬富士関の暴行事件に関連する処分で、今場所は月給282万円が無給。しかし、獲得した懸賞(1本手取り3万円)はすでに135本で405万円。「人生をかけているから」と、金にこだわりを見せないが、給料以上の活躍で場所を盛り上げる。【加藤裕一】

 ◆八角理事長(元横綱北勝海) 相手に上手を取られる前に鶴竜は前に出た。攻めが速い。優勝を考える余裕が出るのは10日目を過ぎたあたりだろう。御嶽海は落ち着いている。最初の当たりがいいから相手がよく見える。このままいってほしい。

 ◆幕内後半戦の藤島審判長(元大関武双山) 鶴竜は厳しい相撲だった。今までで一番、最高に(状態が)いいのでは。自分の全ての力を出し切ろうと、勝ちにいっていないのがいい。開き直って今場所にかける思いが全て出ている。優勝争いは、御嶽海次第の感じだね。