貴乃花親方(元横綱)は理事候補選挙に出馬する予定だが、当選した過去4度と比べ、最も厳しい情勢に立たされている。角界関係者によると、持ち票は1~2票。当選ラインの9票前後に遠く及ばないのが現状だ。

 基礎票11の貴乃花一門は初場所期間中から30日まで計3度も会合を開催。出席者によると、元横綱日馬富士関の暴行問題に端を発する騒動で理事解任となった貴乃花親方に対し、一門の総意で「少し休んでみては」と出馬辞退を迫った。1期限定を基本線とし、阿武松親方(元関脇益荒雄)の一本化でまとまった。

 だが貴乃花親方は不祥事が相次ぐ角界を憂い、かたくなだった。落選覚悟の立候補によって投票に持ち込み、親方衆に信を問う道を選択。30日の会合出席者によると、「この状況での無投票は避けるべきだ。私は選挙に出ます。皆さんは阿武松親方に入れてください」と熱弁したという。

 二所ノ関一門を離脱後に初出馬した2010年では、他一門から3票を獲得して“サプライズ当選”。今回も票に余裕のある出羽海、高砂などの一門から支援を受ければ大逆転の可能性もある。ただ貴乃花一門の親方は「今回は厳しい。よそは票を相当に固めている」と落選濃厚を予測した。