新旧大関が天王山に臨む。新大関の朝乃山(26=高砂)が、平幕の北勝富士をすくい投げで下して1敗を死守。史上9人目の新大関優勝へ、1歩進んだ。大関経験者で返り入幕の照ノ富士も1敗を守った。結びの一番で、横綱白鵬が関脇御嶽海に負けて2敗に後退。割崩しで組まれた13日目の朝乃山と照ノ富士による初顔合わせが、優勝の行方を占う一番となった。

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新大関の勢いそのままに、朝乃山が11個目の白星を挙げた。北勝富士にのど輪で起こされて左上手は取れなかったが、引くことなく前に出た。左に逃げる相手を組み止めて、右を差すと盤石な体勢に。暴れ動こうとする相手を組み止めつつ、右のすくい投げで裏返しにした。「黒星の悔しさをぶつけようという思いでやっている」。10日目の新大関初黒星を闘志に変えて土俵に上がっている。

2度目の賜杯へ、大一番を迎える。幕内の取組前に、13日目の取組が決まった。相手はともに1敗で優勝争いトップに並ぶ照ノ富士。初顔合わせだが、3月の春場所前に出稽古先の時津風部屋で鉢合わせし、胸を合わせていた。当時は十両だった照ノ富士を「自分よりも上背もあるし非常に重たい」と振り返る。新大関として「元大関の先輩ですし胸を借りるつもりで思い切りいきます。先に先に自分から攻めたい」と気負いはない。

目の前で白鵬が2連敗。優勝への欲が高まりかねない状況にも朝乃山は「1日一番、自分の相撲を取りきるだけ」と意識はしない。10勝目を挙げた11日目に口にした「優勝」の二文字はこの日は封印。「自分の相撲を取りきれば結果はついてくる」と構えた。

富山県出身では太刀山以来111年ぶりとなる大関昇進を果たし、今場所は史上9人目となる新大関優勝がかかる。新旧大関対決に勝った方が、優勝争いの単独トップに立つ。【佐々木隆史】