大関経験者の東前頭13枚目高安(30=田子ノ浦)が、東前頭8枚目石浦(30=宮城野)を破って、昨年名古屋場所以来となる勝ち越しを決めた。懐に潜り込もうとする石浦を何度もいなしながら、冷静に対応。最後ははたき込みを決めて、1年ぶりの勝ち越しを決めた。

大関だった昨年名古屋場所は勝ち越すも、左肘の負傷で途中休場。以降も左肩や右膝、腰を痛めるなどの故障が続いた。昨年名古屋場所以降、皆勤したのは今年の初場所のみ。番付も幕内下位にまで落ちた。「立て続けにケガしましたから。苦しい1年だった」と振り返った。それでも「励ましてくれた人がたくさんいたから、もう1回頑張ろうという気持ちになった。『上位で戦う姿が見たい』と言われるので、これからまた頑張りたい」と周囲の声援が何よりの力になった。

5日目には現在単独トップに立つ照ノ富士に、唯一の土をつけた。大関経験者同士の一番を「対戦した時は感慨深いものがあった。懐かしいような新鮮なような。自分より番付を落としたのに本当に励みになる」と振り返った。

今場所も残すところ2日。「まずは今場所しっかりと自分の相撲を取って、来場所まで期間が短いからしっかりと準備していきたい」と秋場所(9月13日初日、東京・両国国技館)を見据えて、土俵に上がる。