大関貴景勝(24=千賀ノ浦)が18年九州場所以来2年ぶり2度目、大関としては初めての優勝を果たした。本割一発で決めることはできなかったものの、最後は勝ち切った。

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照ノ富士は決定戦にまで持ち込んだが、あと1歩、賜杯に届かなかった。本割では貴景勝の強烈な突き押しに屈することなくつかまえ、土俵際で執念の浴びせ倒し。しかし、決定戦では貴景勝の低く激しい立ち合いに力負けし、一気に土俵外へ持っていかれた。本割は思い通りの相撲だったというが、決定戦では「悪い癖が出た。上体が高かった」。自身3度目の決定戦。三度目の正直とはならなかったが「今できることは精いっぱいやった。来場所につながると思う」と前を向いた。

三役返り咲きの今場所は、13勝を挙げて技能賞を獲得した。大関昇進の目安「三役で3場所33勝」に向けて起点で、大関復帰への道を作った。師匠の伊勢ケ浜審判部長も「13勝は今後に生きる」と評価。照ノ富士は「とりあえず2桁が目標だった。達成できたけど…悔しいです」と優勝を逃したことを悔やんだ。負傷を抱える両膝は「よくもった感じだと思う」。ギリギリの状態で土俵に上がっていた。ただ、日に日に力が戻っていることは実感できているという。「来場所に全部をぶつけていきます」と、来年初場所で今場所の悔しさを晴らす。【佐々木隆史】