ただ1人、全勝を守り優勝争いで単独トップに立った平幕の大栄翔(27=追手風)の一番に、協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)が、最大級ともいえる賛辞を贈った。

同じ押し相撲で勢いのある関脇隆の勝(26=常盤山)を、一気の押しで快勝。電話取材に応じた八角理事長は、感想を求められ第一声で「横綱がいない中で、救世主が現れたというかな。今場所は立ち合いがいいけど、その中でも今日が一番良かった」と“場所の主役”と位置付けた。「(押しの)タイミングといい、当たってすぐの瞬発力、手もよく伸びている。隆の勝もこんな相撲になるとは思っていなかったのでは」。あまりにあっけない勝負が大栄翔の強さを際立たせたようだ。

ここまでを振り返っても「7連勝も立派だけど、内容がいい。体が勝手に動いているようだ。本人は全部勝とうと行っているんじゃないかな」と心中を察した。8日目に勝ってストレート勝ち越し、そしてその先に見据える初の賜杯へ-。「1つ1つじゃないかな」と、コツコツと積み重ねる平常心の重要性も説いていたようだった。