さすがの白鵬も、進退を懸ける覚悟を示さないといけない状況になった。

久しぶりの本場所出場も、出場はわずか2日。初場所こそ新型コロナ感染で休場を余儀なくされたが、これで5場所連続休場となり、もう言い訳はできない状況に追い込まれた。横綱審議委員会(横審)は「引退勧告」の決議を下すことができるが、勧告に強制力はない。また、横綱は他の地位と違い、成績不振によって番付が落ちることがない。だからこそ力量、品格が求められる。裏を返せば、横綱として出場するのは当然で、結果も常に求められる。残念ながらここ数年の白鵬に、その姿は見られない。

白鵬は以前から、東京五輪までの現役続行にこだわりを見せている。18年に死去した父ムンフバトさんは、レスリング選手として64年の東京五輪に出場。「同じ景色を見たい」と青写真を描いている。1年延期となった東京五輪は、目前に迫ってきている。

だからと言って休場が続いては、横綱の務めを果たしたとは言えない。これまで数々の偉業を達成してきた大横綱だからこそ、引き際も腹を決めて欲しい。きれいでなくても良い。泥臭くても良い。ただ「最後を懸ける」と言った名古屋場所では、白鵬の覚悟を見せて欲しい。大横綱に二言があってはならない。【佐々木隆史】