大相撲の新横綱照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が、日本国籍を取得した。4日付の官報で告示された。これで引退後は、親方として日本相撲協会に残ることが可能となった。モンゴル出身の照ノ富士は将来を見据えて、日本国籍取得の手続きを進めていた。外国出身横綱の日本国籍取得は、米国出身の曙、武蔵丸、モンゴル出身の白鵬、鶴竜に続き5人目となった。

照ノ富士はこの日午後、報道陣の電話取材に応じた。一報は朝稽古中に知ったといい、日本国籍取得の手続きは「下に落ちたときに、家族と親方とおかみさんと後援者の方々と、みんなで相談して決めました」と明かし、日本人となった現在の心境について「これから、より一層、いろんなことに精進していかないといけないなと思っています」と語った。手続き開始は、番付が最降下した西序二段48枚目の19年春場所ぐらいからで約2年半を要しての取得となった。

決断に至るまでは「そんなに簡単に1人で決めることではないし、一番いい時はそういうのも考えたこともなかった」とし「やはりどん底に落ちた時に支えてくれた方々や奥さん、家族とも相談した」とタイミングについて明かした。その上で「新たに今、この自分の相撲人生の中で学んできたことを、また次に伝えていけるチャンスかな、と。いろんなことを考えて決断しました」と親方として後進の指導にもあたれる道を選択した。

師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)からは「『より一層、相撲に向き合う姿勢を高めて、いろんなことを考えずに頑張っていくこと』を言ってくれていましたね」と明かした。日本国籍取得で名乗ることになる日本名については「師匠の本名、名字をいただいて。やはり自分の中でね。何にも代えられない存在だし、やはり親方との、いろんなことを一緒に乗り越えてきたのもありまして。親方から名字をいただいています。これからやります」と「杉野森」を名字に、名前については「親方とおかみさんと相談して決めた名前がありますので。国籍の関係のことで自分は分からないので。先に自分の口から言ってもという感じですね」と明かさなかった。それでも「名字が変わったからって、自分の本当の親との縁は変わらないので。自分の中で…、何て言うんですかね。ちょっと言葉で伝えるの難しい。そういう感情なので」とも語った。なお夫人の国籍取得手続きについては、進めていないことも明かした。

19歳で入門し、約10年後に日本国籍を取得。その時の自分を振り返り「その時は素直に強くなりたいという気持ちだけだったので。こういう将来のことを考えてなかった」と語った。